Creating for everyone: すべての人に届けるためのマイクロソフトのゲーム制作
30 億人以上の人々がプレイしているゲームには、地理や文化、人口統計の違いを越えて世界中の人々を結びつける力があります。「Gaming for Everyone」は、障碍のある 4 億人のゲーマーを含めたすべての人が楽しめる Xbox を実現するためのマイクロソフトからの約束であり、その実現のため、私たちは意識的にアクセシビリティに着目し、ゲームの制作プロセスにおいても障碍のある方たちと常に連携することで、彼らの発してくれるフィードバックから様々な改善をゲームに行っています。
若い世代にとってゲームは中心的なメディアとして認識されており、25 歳以下の人の 70% が、ソーシャルメディアを含む他のメディアに費やすよりも、ゲームで遊ぶことを選ぶと回答しています。だからこそゲームを作るクリエイターやコミュニティは、この地球上に存在する様々な体験、障碍、文化、そして人々の代表者であることが不可欠なのです。『Minecraft: Education Edition』の「BuildAbility」ワールドのリリースは、これを体現する素晴らしい事例のひとつです。カナダのオンタリオ州に位置するピール地区教育委員会と共同で制作した、アクセシビリティをテーマにした新しいワールドである「BuildAbility」で、プレイヤーである生徒たちは、現実の世界を反映した多様なキャラクターたちと出会い、学校や地域社会におけるアクセシビリティの障壁に気付き、これを取り除く方法について学ぶことができます。『Minecraft: Education Edition』の新しいワールドの詳細はこちらをご覧ください。
先日、マイクロソフトの Ability Summit において、ゲームにおけるアクセシビリティが極めて重要な理由や、クリエイターを志望する全ての人を支援することでよりインクルーシブな世界を築くことについて議論されました。それらの講演やその他の素晴らしいコンテンツは、「Ability Summit」ページで後日視聴することができます。本記事では「Ability Summit」での議論の続きとして、よりゲームのアクセシビリティに対する理解を深め、障碍のある方たちのコミュニティとの協力体制から貴重なフィードバックを得る方法を紹介し、ゲームをより見つけてもらいやすくするために役立つ、私たちが共有したリソースという 3 点にスポットライトを当てたいと思います。全ての人がゲームを遊べる環境、「Gaming for Everyone」を目指すマイクロソフトは、皆さんと一緒に、よりアクセシブルなゲームを作ることを楽しみにしています。
障碍のある人々とのコミュニティ連携
障碍のある方たちのコミュニティと協力することは、彼らの生活体験及び障碍がゲームプレイにどのような影響を与えるかを理解する上で非常に重要です。マイクロソフトでは、開発者チームの皆さんが障碍のある人たちのコミュニティと連携し、そうしたコミュニティとのパートナーシップによって実現した以下のアクセシビリティ・リソースを活用することを推奨しています。(各リンク先は日本語版ページへとつながります)
- 「Xbox アクセシビリティ インサイダー リーグ」(XAIL) は、158,000 人以上のプレイヤーや、最新のアクセシビリティ機能に関するフィードバック提供を希望する協力者が参加するコミュニティです。XAIL はコンテンツ開発者にも開放されており、Xbox Insider Program を通じて、簡単に開発コンテンツをコミュニティと共有することができます。
- 「Microsoft Gaming のアクセシビリティ テスト サービス」(MGATS) は、Xbox や PC ゲームの開発者及びパブリッシャーが製品を提出することで、アクセシビリティの専門家や障碍のあるプレイヤーによる安全で機密性の高いアクセシビリティ・テストが受けられるオプション・プログラムです。テストは Xbox アクセシビリティ ガイドライン (XAGs) に準拠して実施され、アクセシビリティのハイライト、障碍のあるプレイヤーからのフィードバック、懸念事項、アクセシビリティ機能を示すタグとの整合性などを含む最終レポートが作成されます。
より多くのプレイヤーにゲームを届けるために
私たちが創り上げたゲームタイトルをより多くのプレイヤーの皆さんに届けられるように考えているように、開発者やパブリッシャーの皆さんが生み出したゲームも、できるだけ多くの人に体験してもらいたいと考えています。より多くのプレイヤーにゲームタイトルを手に取って遊んでもらうには、まずはプレイヤー自身がゲームを見つけ、プレイしたいと確信をしてもらう必要があります。 ゲーム・アクセシビリティ・チームに寄せられる代表的な質問のひとつに、「私たちが遊ぶことが出来るのはどのようなゲームですか?」というものがあります。ゲームを購入して数分後に、ゲームを進めるために重要な機能が欠けていて遊べないことに気づく場合もそうですが、達成度を 99% まで進めたところで新しい仕様が導入されて、動作を学びなおす必要が出てくることは非常にストレスが溜まる体験なのです。いわば、子どもの誕生日プレゼントに電池が含まれていないことに気付き、楽しみにしていたおもちゃで遊べなくなるようなものです。
プレイヤーは、ゲームを始める前にアクセシビリティの詳細を知りたいはずです。より多くのプレイヤーがゲームを楽しめるように、以下の方法を活用いただくとともに、是非皆さんの周りで必要としている人にも共有ください。
アクセシビリティ機能タグは、「カスタム ボリューム コントロール」「字幕オプション」「クイックタイム イベントなし」など、20 種類のアクセシビリティ機能のうち1つ以上を備えたゲームを探しやすくするために開発されました。それぞれのタグは、ユーザー調査や障碍者コミュニティの協力によって吟味された具体的な基準で定義されており、開発者が要件を理解し、対応しやすいようになっています。開発者は、Gaming Metadata モジュールの Accessibility 機能を使用してゲーム内のアクセシビリティ機能をタグ付けし、プレイヤーにゲームを見つけてもらいやすくすることができます。また、コミュニティからのフィードバックに基づく新機能によって、タグの検索、フィルタリングが可能になり、プレイヤーはこれまで以上に簡単に好みのゲームを見つけることができるようになりました。これらの機能には、今後もコミュニティの声を反映させていく予定です。
アクセシビリティ・サポートページでは、ゲーム内のすべてのアクセシビリティ機能の概要を検索することができます。発売時にこの情報を提供し、リリースごとに更新することで、障碍のあるプレイヤーもどのようにプレイできるのか情報を得られるようになります。
ゲームを共有する際は、コンテンツや共有方法がアクセシブルであるかも考慮する必要があります。最近発表された All-American Sign Language (ASL) Xbox Twitch Channel (/XboxASL) などのプラットフォームを活用しましょう。ここでは毎日、Xbox Plays チームがXbox Twitch チャンネルでライブを行い、Xbox の最新かつ最高のタイトルをプレイしています。
ゲーム・アクセシビリティへの理解を深めるために
アクセシビリティの考え方を最初から開発プロセス内に組み込んでおけば、より多くの人がゲームを楽しめるようになりますが、どこから始めればいいのか、どこに行けば詳しい情報が得られるのかが分からないこともあると思います。そこで、皆さんからのフィードバックやコミュニティとの連携により、ゲームに特化した、見つけやすく、プロジェクトに直接適用できるリソースを提供することで、アクセシブルなゲーム体験を簡単に作れるようにしたいとマイクロソフトは考えています。以下は、その一部です。 (各リンク先は日本語版ページへとつながります)
新しい「アクセシビリティに関する開発者向けリソース」では、開発者がアクセシビリティへの取り組みを始める際のテストツールや、開発者向けリソース、カンファレンスでの講演やガイドラインなどの豊富なリソースをまとめて提供しています。
「Xbox アクセシビリティガイドライン」(XAGs) は、ゲームのアクセシビリティを検証するためのゲームクリエイター向けの無料リソースとして 2019 年に提供が開始され、コミュニティからのフィードバックに基づき、継続的に改良が加えられています。今月は、メンタルヘルス、乗り物酔い、文字サイズの明確化に関するベストプラクティスの追加が発表されました。
「ゲームのアクセシビリティの基礎」は、ゲーム・アクセシビリティ初心者やより理解を深めたい人向けの無料のオンライン・コースです。この教材は、ゲーム・アクセシビリティの基礎知識の確立――障碍を持つ人たちのコミュニティとの連携方法、ハードウェア、ソフトウェア、ゲーム・アクセシビリティに加えて、支援技術に関するベスト・プラクティスなどの学習を目的としています。コース終了後は、新たに発見した知識とバッジをコミュニティとぜひ共有してみてください。
ゲーム開発キット (GDK) の「アクセシビリティの概要」では、特定の機能やAPIに関する開発者リソースの詳細、Ability Summitで行われた基調講演に基づくゲームのアクセシビリティ化が重要である理由の背景、及びアクセシビリティ機能をサポートするためのシステムAPIリファレンスの詳細が共有されています。
これらの多くは、ブラノン・ザハンド (Brannon Zahand) 氏による GDC 講演「Making Games More Accessible Can Be Easy with Microsoft Game Accessibility Resources」で共有されています。
※この記事は米国時間 2022 年 5 月 9 日に公開された “Creating for everyone: How to make more accessible games” を基にしています。