フォージ AI ツールキット によって、『Halo Infinite』は無限に遊べるゲームに進化

10 月 17 日、『Halo Infinite』の「シーズン 05: レコニング」とともにリリースされたフォージ AI ツールキット は、『Halo Infinite』にとってどれほど大きなものになるのか、それを十分に理解するのに少し時間がかかりました。今は、この新しいフォージが持つ可能性が、とてつもなく大きいものだと感じています。才能豊かな『Halo Infinite』コミュニティのメンバーが参加してマップを作り始めたり、これからゲーム デザイナーの道へ進もうとする人たちがポートフォリオを作ったりすることで、素晴らしいキャンペーンや強力なマルチプレイヤー モードだけでなく、多くの『Halo Infinite』プレイヤーがさらにユニークな体験を楽しめるようになります。

この新しいフォージ AI ツールキット の登場により、フォージでキャンペーン AI を使用した体験を作成し、共有できるようになります。クリエイターは AI を搭載したフォージで、AI がナビゲートする場所をコントロールしたり、ノード グラフを使用して AI を管理したりといった機能を利用することができます。

「フォージ AI ツールキット が目指すものは、Wave ベースの PvE 体験です。Firefight や Horde のようなゲーム モードは、プレイヤーがフォージで最初に作り始めたいものですが、より段階的に体験することもできます」と 343 Industries のフォージ リード デザイナー Michael Schorr 氏は説明します。


ノードグラフで海兵隊を動かす


「私たちのエンジニアのひとりは、AI を使ったタワー ディフェンス ゲームを試作しました。このツールには多彩な柔軟性があるのです」

343 Industries フォージ リード デザイナー Michael Schorr

「曲がりくねった廊下を作り、角を曲がるたびに AI が目の前に敵を生み出すことができ、進むためには彼らを倒す必要があります。しかし、MOBA のようなクールなこともたくさんできます。私たちのエンジニアのひとりは、AI を使ったタワー ディフェンス ゲームを試作しました。このツールには多彩な柔軟性があるのです」

Schorr 氏は、このツールの意義と、『Halo』の PvE モードによる「エリート」「グラント」「ブルート」といった敵 AI との戦いという、1 作目の『Halo: Combat Evolved』から最新作『Halo Infinite』までの体験について語ってくれました。今、343 Industries は、プレイヤーにその体験に関する自分自身のバージョンを作らせようとしています。

「私にとって (フォージ AI ツールキットの) 意義はそこにあります。ツールキットは、このより大きな目的の達成に欠かせないものであると思っています。フォージ の歴史は長く、私たちはマルチプレイヤーをテーマにしたクールなバリエーションをたくさん見てきましたが、プレイヤーが AI を使ってできることは見たことがありませんでした。リングに初めて降り立ったときの戦闘をリメイクする人たちも出てくるでしょう。それはとても素晴らしいことです」

343 Industries のフォージ テクニカル デザイナー Connor Kennelly 氏は、以下のように説明してくれました。「技術的に言えば、キャンペーン AI の敵がマルチプレイに登場するのは今回が初めてです。つまり、フォージで作ったものは、どんなゲーム モードでも利用できるということになります。すでに作ったものに AI エネミーを追加したり、AI エネミーを使って新しいものを作ったりできるので、既存の作品にとっても、とてもクールな変革となるでしょう」

フォージ AI ツールキット はおよそ 1 年半前から開発が進められており、今年の初めにはキャンペーン エンジニアをチームに招いて、様々な内部ツールとのインターフェイスを支援する API (複雑な機能を簡単に使えるようにする仕組み) を構築するなど、より多くの時間を費やしました。それが整うと、残りの機能開発はかなり早くまとまったようです。

「API の中で、プレイヤーにとって素晴らしいと思われるものがあればいつでも、”それをノード グラフ スクリプティングに追加できないか”考えていました。もし答えがイエスなら、取り入れることに躊躇いはありませんでした」と Kennelly 氏は語ります。「昨晩数えたら、シーズン 05 では 100 個上のノードが追加されていました。元から存在していたノードは 300 ほどあることも考えると、AI に関連するものだけに絞った場合においても 75 個という大量の新しいノードが追加されることになります。ノードの追加を検討するとき、私たちは、”プレイヤーは、これを使って何か奇抜なものを作れるだろうか?”と考えます。可能性が感じられた場合、プレイヤーの皆さんの奇天烈な作品に組み込んでもらえるようにと採用しました」

「こうした機能によって、プレイヤーが基地を奪取したり場所を守り抜いたりするようなキャンペーンやシナリオを作り、大いに楽しんでくれることを期待しています」

343 Industries フォージ テクニカルデザイナー Connor Kennelly

「社内チームがキャンペーン向けに作ったような、豪華でハデなイベントをそのまま作ることができるわけではありません。しかし、それでも非常にパワフルな仕組みであることは間違いありません」と Schorr 氏は付け加えました。

フォージ AI ツールキットでプレイヤーができる機能には、敵 AI の出現、敵 AIの移動制御、敵 AI を管理するためのノード グラフの使用などがあります。例えば、出現ポイントから出てきた敵 AI を特定のゾーンに走らせることができます。AI にスクリプト化されたイベントを与えることで、より大きなことができるようになります。

「敵にパトロールのルートを守らせたければ、それぞれの要素をリンクさせれば、エリートたちで構成される小さな分隊を基地の外側に送り込むことができます。海兵隊たちに倒される前に、野営地にグループを走らせることもできます」と Kennelly 氏。「プレイヤーの行動がきっかけとなって敵を出現させることもできます。スクリプト的なことをもっと深くやりたければ、プレイヤーの誰かが倒された後にグラントの集団を出現させることもできます。スクリプトによって好きなゲーム イベントにフックさせて、分隊を別のゾーンに再配置するオプションが山ほどあるのです。こうした機能によって、プレイヤーが基地を奪取したり場所を守り抜いたりするようなキャンペーンやシナリオを作ってくれることを期待しています。私たちが作り上げた機能の 1 つをフルに活用すれば、十分に実現可能です」


トリガー スポナーの使用


2700 万回のカスタム マッチ、200 万のユーザー作成作品、40 以上のユーザー作成マップが公開マッチメイキング プレイリストに追加されています。これらの数字は、『Halo Infinite』コミュニティ、特にフォージ コミュニティの健全性が、リリースから 2 年近く、フォージを実装してから 1 年近く経った現在でも信じられないほど強固であることを物語っています。

「X (旧Twitter) では毎日何らかの新しいものを見ているような気がします。少なくとも週に一度は、かなりメジャーなマップのリリースを目にしていますね」と Schorr 氏は言います。「人々がそれを発表し、私をタグ付けしてくれます。たくさん見ますよ。しかも、”ハシゴのある箱を作りました”という簡単なものではなく、その完成度は開発者チームと並び立てるレベルの仕上がりです」

「フォージを通じて追加された 40 のユーザー自作マップは、それぞれが開発者の創るマップと同等の品質であり、それをマッチメイキングに追加しています」とKennelly 氏は付け加えます。「こうしたマップは多くの場合、だいたい 6 か月程度のプロジェクトで作成されます。343 Industries だけで 24~30 ものマップを作りました。驚くべきことに、この 11 か月の間に、これまで我々が制作したマップよりもさらに多くのマップがコミュニティによって制作された、ということです」

フォージの使い方がわかれば、それは 343 Industries 内のあらゆるレベル作成ツールの使い方を知っているも同然です。フォージ AI ツールキット と相まって、いくつかのポートフォリオが今後数か月の間にどれほどのものが作られるのか、容易に想像できます。実際、Kennelly 氏自身を含め、多くのフォージ レベル デザイナーが現在 343 Industries に雇用されています。

「『Halo』でフォージを始めて、基本的なレベル デザインを学んだ人たちをたくさん知っています。それこそ、フォージはアマチュアとしてのデザイン ポートフォリオを作るのに役立ちます」と Kennelly 氏は語ります。「ここで働く前の私のインタビューは、”私がフォージで作成したもの、そして私が持っているプロフェッショナルなスキルはこれです”という言葉から始まりました。他の会社で働いている人たちも、同じようにフォージでレベル デザインの勉強を始めたことを知っています。フォージは、ゲーム業界に足を踏み入れるための一つの方法です。フォージについて気に入っている部分は、すでにプレイヤーがいるベースがある、という点です。新たなゲームやエンジンを作ったとしても、プレイ テスターは多くとも 5 人から 10 人という場合が多く見られます。フォージを使えば、カスタム ブラウザにアップするだけですぐプレイヤーを集めることができ、他のフォージ プレイヤーを見つけることができます。私はそのことにとても強く感銘を受けています」

またシーズン 05 では、対象となるカスタム ゲームの試合 (フォージの作品など) をプレイする際にも、バトル パスとオペレーション パスを進行させることができるようになりました。マルチプレイが苦手なプレイヤーでも、PvE 体験を作ったり、カスタム ゲームに参加して XP を獲得したりすることができます。

「バトル パスとオペレーション パスをまとめて進行させることができるのは、素敵な組み合わせです」と Schorr 氏は言います。「プレイヤーの中にはマルチプレイがあまり好きでない人もいるだろうから、”ああ、これをやりに行こうかな、バトル パスもにも対応しているし”と思えるような、良いセーフティネットとして機能しています」

「シーズン 05: レコニング」 では、2 つの新しいアリーナ マルチプレイヤー マップも導入されます。緑豊かなジャングルと乾燥した不毛の大地という 2 つの側面を持つ、長い間放置されていたフォアランナーの建造物「禁断」と、廃坑となったブラーマイト鉱山の洞窟をフィーチャーした「プリズム」です。シーズン中には、4 人 1 組の 2 チームがマップ上の採掘場で競い合う新モード「エクストラクション」も登場します。

「シーズン 05: レコニング」 と フォージ AI ツールキット の詳細については Halo Waypoint (英語) をチェックしてください。

Halo Infinite』にとっても、世界中のフォージ クリエイターにとっても、非常にエキサイティングなアップデートが実装されました。フォージ AI ツールキット がプレイヤーにもたらすものは、率直に言って信じられないほど革命的な仕組みです。すでに多くのフォージ クリエイターがどれほどの才能を持っているかを知っているだけに、今後数か月でどんな楽しい創造を体験できるかと思うと、少し気が遠くなりそうです。が、フォージ コンテンツを楽しみにしているプレイヤーの気持ちを代弁しているような台詞を、最後に紹介したいと思います。

「まだ始まったばかりだ」 – マスターチーフ (『Halo: Combat Evolved』より)

※この記事は米国時間 10 月 13 日 に公開された“The Forge AI Toolkit is Going to Change Halo Infinite Forever”を基にしています。