『鉄拳8』はみんなの期待以上にブッ飛んだものになっていた
『鉄拳8』のストーリー モードが始まって数分も経たないうちに、主人公の風間仁が翼を広げ、父親に向かって車を 3 台ほど投げつけ、高層ビルまで吹っ飛ばす……。これを見て、私は思わずゲーム画面に向かって大声を上げていました。物語がこの調子で始まるのであれば、この先も楽しい時間が待っていることでしょう。『鉄拳8』は、今まで以上にアグレッシブでブッ飛んだゲームになっていたのです。
『鉄拳8』のストーリー モードは、世界最強トーナメントを主催する父である三島一八を倒すべく前進を続けるその息子、風間仁の旅を描いています。世界各国からの出場者が競い合うこのトーナメントでは、父親の悪事を仁が食い止めない限り、敗者には恐ろしい結末が待っているようです。ここまでの一連のストーリーを知らなくても大丈夫です。『鉄拳8』にはシリーズの物語を紹介する短いムービーが用意されているので、それらを見れば本筋を理解することができることでしょう。
今回は新旧キャラクターが勢揃いしています。三島一家に加え、ポール・フェニックスとマーシャル・ロウの駆け引きは盛りだくさんですし、クマと吉光は敵を絞め上げ、斬り刻む準備を整えています。『鉄拳8』からの新キャラクターとして、天真爛漫な性格と、恐れ知らずのファイト スタイルで愛されるペルー人 MMA ファイター「アズセナ」、国際協力連合軍の創設者で生ける伝説の軍人、「ヴィクター・シュヴァリエ」、そして三島家の格闘スタイルと謎めいたつながりを持つ「麗奈」が登場します。これら新旧キャラクターは、これまでの「鉄拳」を遊んできた人も、『鉄拳8』から初めて参加するプレイヤーも引き込む、最適な組み合わせと言えるでしょう。
メインのストーリー モードに加えて、各キャラクターにはそれぞれのキャラクター エピソードが用意されています。5 試合からなる消化しやすいセッションで、『鉄拳8』にまつわる彼らの近況が短いカットシーンを通して紹介されていきます。これはこれまでの「鉄拳」シリーズにあったお祭り騒ぎへの見事な回帰であり、三島との戦い以外の場所でキャラクターたちが大騒ぎに興じているのを見ることができるのは、これ以上ない喜びを与えてくれます。カットシーンのどれかをネタバレしてしまうと、目の肥えた「鉄拳」ファンに怒られてしまうかもしれないので、そのあたりは見てからのお楽しみとしておきます。とくに、ロウのカットシーンを見れば、『鉄拳8』がいかにトンデモないかを味わえるでしょう。
長い間「鉄拳」をプレイしていない人 (私も含めて) にとっては、これまでの格闘スタイルや操作に戻るのは難しく感じるかもしれません。ですが、『鉄拳8』の操作はあらゆるタイプのプレイヤーにとって直感的かつ快適に感じられるように作られています。仁で遊んだとき、最初の数試合は昔の靴を久々に履いたようなこそばゆい感覚でした。しかし段々と慣れ親しんだ技やコンボが記憶の底から呼び覚まされ、まるで「鉄拳」シリーズから離れていたことがなかったかのように遊べたのです。LB ボタンを押すと操作がシンプルなスタイルに切り替わり、強力な技を簡単に繰り出すことができるようになります。
シングルプレイも充実していますが、多くのプレイヤーを魅了するのはマルチプレイと対戦モードでしょう。オンライン ビジュアル ロビーはそれ自体が全く新しいゲームのように感じられます。オンライン対戦へ飛び込む前にカスタマイズしたアバターを準備し、チュートリアルとチャレンジのハイブリッドである「アーケード クエスト」をプレイしてみましょう。ここでは上達を手助けしてくれる CPU と対戦することができます。また、新モードである「スーパーゴーストバトル」では、プレイヤーの闘い方を再現してくれる AI との戦いに挑むことができます。「鉄拳」にはランキング争いの激しいマルチプレイヤー競技シーンがあるため、これらの追加モードはオンラインプレイに不慣れな人にとって良い導入となることでしょう。
バトル エリアでは、2 人のプレイヤーが向かい合って筐体に座り、3 ラウンドの戦いを繰り広げることができます。再戦したり、キャラクターを交代したり、恥ずべき敗北を喫した後にただ立ち去ったりすることもできます。静的なメニュー画面を眺めながら対戦を待つのではなく、実際のゲーム センターにいるような感覚を再現し、洗練されたインタラクティブなシステムに仕上がっています。対戦の合間には、プラクティスでの待ち受けはもちろんのこと、ロビーを探索したり、他の対戦を観戦したり、アバターやファイターのカスタマイズに時間を費やしたりすることもできます。
さらにはこれまで「鉄拳」を遊んだ方なら親しみがあるかもしれないモード、「TEKKEN BALL」も帰ってきました。『鉄拳3』で初めて登場したこのミニゲームの目的は、大きなボールに技を叩きつけて、相手に向かってボールを飛ばし、ぶつけて倒すことが目的となります。このミニゲーム、私の記憶にある「TEKKEN BALL」とまったく同じように感じられますし、このミニゲームが収録されたことで『鉄拳8』はクラシックな「鉄拳」体験にまたひとつ立ち返ったような気もします。
「鉄拳」チームは格闘ゲームの金字塔に位置するこのシリーズのために、『鉄拳8』で素晴らしい体験を築き上げました。「鉄拳」をこよなく愛するファンや熱心なプレイヤーは、大幅に進化したこのゲームを大いに楽しめることでしょう。胸を打つストーリー、スタイリッシュで充実したバトル、息をのむような数々の舞台とステージ……などなど、本作は「鉄拳」シリーズ最高傑作と言えます。ハイ ボルテージでエンドレスに楽しめて、お祭り騒ぎとしての性質が極限まで突き詰められているのです。
さらに、『鉄拳8』はしばらくシリーズから離れていた人や、引退したプレイヤーたちにも目を向けています。ストーリー モードでは、『鉄拳3』で初めて聴いた仁のテーマ曲が、あるバトルの最高潮を彩るかのようにゲーム内で響き渡るのです。長年のファンも、リングサイドから何気なく見ていた人も、『鉄拳8』から「おかえりさない」と言われているようでした。
『鉄拳8』は、Xbox Series X|S で好評発売中です。
※この記事は米国時間 1 月 23 日 に公開された“Tekken 8 Is the Bombastic Return You Want It To Be”を基にしています。