『Towerborne』の世界では、多くのクリーチャーが破壊の限りを尽くしています。特に強力なクリーチャーが、今回紹介する「Truffleclub」です。
敵キャラクターをクリエイトするときは、アートからアニメーション、戦闘デザインに至るまで、ゲーム開発チームの各分野を横断します。今回は、Stoic Studio 所属のリード コンバット デザイナーである アイザック トーレス (Isaac Torres) 氏、シニア コンバット デザイナーのアビバ シェクターソ (Aviva Schecterson) 氏、プリンシパル アニメーターのジョセフ ガラハ (Joseph Garrahan) 氏、リード コンセプト アーティストのジェフ マーチー (Jeff Murchie) 氏の 4 人にインタビューし、アイデアを形にする過程について話を聞きました。
(以下敬称略)
本日はお時間をいただきありがとうございます。まずは皆さんのプロフィールや経歴などを教えてください!
アイザック: Stoic Studio のリード コンバット デザイナー、アイザック トーレスです。戦闘に特化したものすべてに強い愛情を持っていて、ゲーム業界で 10 年ほど働いています。私のキャリアは格闘ゲームが中心でしたが、『Towerborne』を初めて見たときはとても衝撃を受けました。このゲームを世に送り出すために、素晴らしいコンバット デザイナー集団を率いるチャンスがもらえて、とても嬉しく思っています。
アビバ: Stoic Studio のシニア コンバット デザイナー、アビバ シェクターソンです。ゲーム デザインの学士号を取るために DigiPen 工科大学に通い、数年ほどボード ゲームを作っていました。Amazon Game Studios 在籍時は、『Crucible』と『New World』の両方に携わりましたね。Stoic Studio に入社して 3 年余りになりますが、AI 戦闘の陣頭指揮を任されています。仕事以外では、2 匹のゴージャスな猫を飼っていて、本を読んだりゲームをしたりしている間、私の膝の上に座っています。

ジョセフ: Stoic Studio のプリンシパル アニメーター、ジョセフ ガラハンです。サヴァンナ芸術工科大学でアニメーションを学び、2000 年にテレビ コマーシャルのアニメーションを担当してアニメーターになり、映画、テレビ シリーズ、ビデオ ゲームなどを手がけてきました。少し前まで Naughty Dog に所属していて、『アンチャーテッド』と『The Last of Us Part II』の制作に携わっていました。私はアニメとビデオ ゲームの大ファンで、とくにベルト スクロール アクション ゲームが大好きです。なので、このプロジェクトに携わるチャンスがきたときは、本当に嬉しかったです。
ジェフ: 私は Stoic Studio のリード コンセプト アーティストを務めるジェフ マーチーです。『Towerborne』のキャラクターデザインを担当しています。2000 年代初頭に LucasArts へ入り、以降この業界にずっと身を置いています。LucasArts ではさまざまなプロジェクトに携わってきました。『It’s About Time』、『Spyro Reignited Trilogy』、そして『Skylanders』シリーズではオモチャに命を吹き込みました。Stoic Studio に入社して 3 年以上経ちますが、ゲームのビジュアル コンセプトを描き続けています。時間を忘れて楽しみながら描いていますね。最後に個人的なことを言ってもいいですか? バスケット ボールとアルティメット (フリスビー) が大好きです。
ではゲームの質問をさせてください。クリーチャーの Truffleclub はどのように生まれたのでしょうか。

ジェフ: Truffleclub のコンセプト アーティストとして、菌類から進化するプロセスのひとつとして捉えました。開発チームは菌類の森というテーマに合うクリーチャーが欲しいと考え、「キノコ」という設定からさまざまな Truffleclub のスケッチを書いて、そのデザインを模索していきました。当初、このキャラクターに対しての条件は、「スマッシャー (叩き潰すような攻撃を仕掛けてくる) であること」でした。『Towerborne』におけるキャラクター開発で特に難しかったのは、クリーチャーの見た目の恐ろしさと気まぐれさのバランスを取ることで、ただ怖くて威圧的に感じるようなデザインにはしたくなかったのです。私はこのキャラクターが、ビジュアル コンセプトを超えて開発中にどんどん成長していくのを見るのが大好きです。キャラクター モデルやアニメーション、VFX は、Truffleclub にさらなるパワーと個性を与えてくれました。
アビバ: 私が Truffleclub の存在を知ったのは、他のマイナーなキャラクターと一緒に開発のホワイト ボードで見たときでした。ボスと雑魚の敵が機能的には同族でありながらも、プレイヤーにまったく異なるゲーム体験を提供できるという点に、とても興味がありました。
ジョセフ: 私はコンセプトの段階から関わっており、パラシュートのようにキノコを飛ばしたり、地面に穴を開けたり、ジェフと一緒に奇抜なコンセプトを作ることに可能性を感じていました
アイザック: 私の経験は少し異なります。私が Stoic Studio に参加したとき、Truffleclub はすでに開発中でした。キャラクターの大きさ、アニメーションや動きの個性に、とにかく驚かされましたね。デザインの創造性が大好きで、チームはこのキャラクターに命を吹き込むために、じつに素晴らしい仕事をしています。
魅力的で面白い敵の動きを実現するためには、異常で型破りなものからインスピレーションを得なければなりません。Truffleclub のような複雑なキャラクターをアニメーションさせるとき、そのアイデアはどこから沸いてくるのでしょうか?
ジョセフ: アニメ『天元突破グレンラガン』やトリガーが制作するアニメーションなど、限界に挑戦するアニメにいつも魅了されてきました。なので、モーション デザインを簡単に作ってはいけないと肝に銘じています。ちょっとでも手を抜くと、それはすぐわかりますから。モーションをつけていくことはとても難しい作業ですが、最終的には満足のいく仕上がりになっていると思います。
敵に命を吹き込む作業はどのように始めるのでしょうか?
アイザック: 私はこのプロジェクトのリード コンバット デザイナーとして、そのキャラクターはどのような役割を果たすのか、といったことを考えました。私たちが作るすべての敵の戦闘の全体像を考えなければならないのです。敵の技に何かひねりを加えて、ゲームをより楽しくする方法はないか……と、つねに考えています。また、その原型はデザイン チームがすでに決めていることもあります。様々なコンセプト アートからインスピレーションを得て、それを元に技セットを構築していきます。
そのキャラクターに携わっていないチーム メンバーたちにも助けてもらうことは、とても重要なことなのです。そのためにも、多くの場合は真っ白なキャンバスからアイデアを練り始めます。敵がどのバイオームで登場するかもだいたい決まっており、これもデザインをするうえで役に立ちます。少なくとも初期段階で何らかの手がかりを与えてくれます。全体的に見てこのプロセス自体はとても楽しく、このプロジェクトの好きな部分のひとつですね。みんなのクリエイティビティが本当に輝いていて、この機会を通してそれを見られたのはとても素晴らしいことでした。
アビバ: 私は個性と敵の目的から作り始めるのが好きです。それが互いに影響し合って、他のメカニックや行動パターンに反映されていきます。Truffleclub については、その大きな振りでパンチが効いているように感じさせ、さらにプレイヤーに毒ダメージを付与することで、”ステータス異常” という新しい仕組みもここで試すことになりました。また、攻撃フェーズの候補として、このようなメモがありましたので、ご紹介しておきます(Truffleclub との戦いはこのイラストのようなフェーズ構成になっていませんが、潜り技、前方へのフィスト スラム、サイド フィスト スラムはゲームで採用されました)。

ジョセフ: こうした敵キャラクターを造るとき、通常はそのサイズやゲームにおける目標、試してみたい武器などといった、基本的なコンセプトを作成するところから始まります。その後、格闘技、ボクシング、アクロバットなど、どんなモーションが最適かを考えます。基本的な動作を表現するアニメーションは、3D または 2D イラストを使用して作成することもあります。アニメーション ディレクターのランス マイヤーズ (Lance Myers) 氏は、Truffleclub のために素晴らしい 2D アニメーションを制作しました。最終的に、Truffleclub はボディ全体を振り回す猿のような動きに落ち着きました。
デザインするうえで、課題はありましたか?
アビバ: そうですね、Truffleclub はプリプロダクションの早い段階で実装した、最初のボス キャラでした。ゲームの開発中は、戦闘や反復要素には多くの変更が加えられます。そのため、攻撃パターンやエンカウントのテンポは、プレイヤー側の戦闘が変化するだけでなく、AI 側の技術更新にも対応させる必要があるのです。このキャラクターはこれまで開発してきた AI のすべてのバージョンに搭載され、何度も作り直しとなっていました。
ジョセフ: Truffleclub は最初は二足歩行をしていたのですが、チーム メンバーから「猿の着ぐるみを着ている人みたい」と指摘が入りました。ある意味、その言葉に背中を押されてもっと面白いモーションを作り続けることになり、最終的には四足歩行の猿のような歩き方に辿り付きました。結局、最初の指摘が Truffleclub の個性に大きな影響を与えました。
アイザック: 最初のボスを作成することは、いつも大きな挑戦です。このような敵は、以降のゲーム展開や方向性を決めるものでもあるので、非常に多くの時間を費やします。とくにじっくりと精査しているのは、面白くなっているかどうかという部分であり、バトル チームとして私たちは常に面白さを優先事項にしています。開発初期にうまく機能していても、開発が進行することで根本的な変更が必要になる場合があります。正直なところ、これこそが最大の難関です。ただ、ゲーム開発が進むにつれて、チームとしても成長し続けています。学んだことがたくさんあるので、古いコンテンツに戻って、後に作られたコンテンツのクオリティまで引き上げることもあります。
もちろん、Truffleclub 以外のボスも例にもれません。開発フェーズを通して重要だったのは、ボス戦が圧倒的すぎるように感じられないようにすることだったこともあり、開発が進むにつれてさらなる課題が生み出され続けました。1 対 1 であろうと 4 対 1 であろうと、最適解のアクションを見つけてもらうことが重要でした。敵の数は多すぎやしないか、ユニークな行動を追加する必要があるかどうか、どのようなインタラクションが楽しさを最大化して興味深いチャレンジになるか……といった部分を、何度も調整しています。
Truffleclub のアニメーションで、一番好きなところはどこでしょうか?
ジョセフ: 地面に潜る動作ですね。キャラクターのリグを極限まで伸ばしたり縮めたりして、面白く、見た目も興味深いアクションを作ることができました。
Truffleclub のアニメーションは、最大 4 人のプレイヤーが襲い掛かってくる中で、Truffleclub がどのように各プレイヤーと相互作用するかを考えなければなりません。さまざまな武器を使ったアニメーションと、あらかじめ用意された AI とのバトルのアニメーション プロセスについて教えてください。
ジョセフ: クラウド コントロール、方向指定など、様々な状況に対応した攻撃を多数作成する必要がありました。デザイナーは、これらの攻撃が最適なときに発動するように心掛けてもらいました。
アイザック: コンバット デザイナーとして、これは継続的な課題です。1 対 1 の戦闘が気持ちよく感じられるようにするだけでなく、最大 4 人のプレイヤーがいる状況も常に考慮しなければならないため、テストプレイは重要です。それぞれのキャラクターはあらゆる場面に適応させつつ、常にアニメーションの調整を行っています。動きは遅すぎないか、4 人のプレイヤーが Truffleclub を取り囲んで攻撃の連打を浴びせたとき、Truffleclub は逃げることができるのかや、Truffleclub の大技が繰り出されるとき、プレイヤーにはそれがわかりやすく伝わるかどうか……。私たちはデザイナーとして、このような状況をできるだけ早い段階で見極めようとしています。そのため、アニメーションをくまなく確認して、必要に応じてすぐ調整できるように、アニメーターにはまず簡略化されたアニメーションを作成してもらってします。
ちなみに、Truffleclub は休みの日に何をしていると思いますか?
アビバ: 菌糸ネットワークを使って交響曲を奏でるキノコのコンサートを楽しんでいると思います。
ジョセフ: 寝ている間に地中深くで小さいキノコを産んでいるのではないかと。
アイザック: Truffleclub は地下に潜るのが好きだから、仲間のために緻密な交通システムを作っているのかもしれませんね。
Truffleclub のことだけでなく、まだ見ぬ『Towerborne』の敵キャラクターたちも開発を進めていると思いますが、最後に読者へ伝えておきたいことはありますか?
アビバ: Truffleclub は私たちにとって最初のボスキャラでした。Truffleclub が誕生してから、楽しいことをたくさん思いつきました。Truffleclub は始まりに過ぎません。
ジョセフ: 目標としては、クールかつ意外性のあるものでプレイヤーを驚かせることと、ベルト スクロール アクション ゲームを新しいレベルに引き上げることです。
アイザック: バラエティに富んだ敵キャラクターとそのすべてに注がれた情熱を、プレイヤーの皆様に見てもらうのが待ち遠しいです。巨体の Truffleclub と、フワフワしていてかわいいキノコが並んでいる様子は、とても楽しい対比です。あなたが Truffleclub らを見たとき、ニヤリと笑顔になってくれることを願っています。
『Towerborne』は現在も開発中であり、本記事で紹介したゲーム内容は最終バージョンではありません。『Towerborne』は 2024 年後半にリリースされる予定です。詳しくは Webサイト、Discord、ソーシャル メディア チャンネル (TikTok、Instagram、Twitter/X) をご覧ください。
※この記事は米国時間 4 月 18 日 に公開された“Bringing an enemy to life! – Towerborne Truffleclub Showcase”を基にしています。