『アサシン クリード シャドウズ』は、2 つの異なる体験をどのように融合させたのか

概要

  • 新たに公開された『アサシン クリード シャドウズ』の最新情報について、ゲーム ディレクターを務める Charles Benoit (チャールズ ブノワ) 氏にお話を伺いました。
  • 『アサシン クリード シャドウズ』で侍と忍のプレイがどのように入れ替わるのか、その詳細をご覧ください。
  • Xbox Series X|S 向けに発売する『アサシン クリード シャドウズ』は、2024 年 11 月 15 日に発売されます。

シリーズ当初から、『アサシン クリード』シリーズはいつか日本を舞台にした作品が登場するのではないかとファンは推測していました。主人公デズモンドが、2007 年発売の 1 作目で日本語で書かれたメッセージを見ていたからです。

そしてユービーアイソフトは本日、待望の日本を舞台とした『アサシン クリード シャドウズ』を正式発表しました。Xbox Series X|S 向けに 2024 年 11 月 15 日発売予定です。

この最新作は封建時代の日本を舞台に、『アサシン クリード オデッセイ』の開発チームによる壮大な RPG スタイルのゲームプレイを継承しつつ、『アサシン クリード ヴァルハラ』で語られた物語の続きが描かれています。まずは、以下の公開トレーラーをご覧ください。

舞台となる日本が、歴史的に大きな転換点である戦国時代末期であることに加え、『アサシン クリード シャドウズ』が従来のものと大きく違う特徴として、1 回のプレイで侍と忍という 2 人のキャラクターでプレイできるという点が挙げられます。

『アサシン クリード』シリーズにおいて、 2 人のキャラクターを同時に掘り下げるというのは、とても魅力的なアイデアです。ここでいくつかの疑問も出てきたので、ゲーム ディレクターの Charles Benoit 氏に詳しい話を伺ってみました。

Benoit 氏はユービーアイソフトで 20 年近く勤務し、『アサシン クリード ブラック フラッグ』、『アサシン クリード シンジケート』、『アサシン クリード オデッセイ』、『フォーオナー』、『ウォッチドッグス』、『イモータルズ フェニックス ライジング』などのプロジェクトに貢献し、現在は『アサシン クリード シャドウズ』のゲームディレクターを務めています。Benoit 氏に話を聞く中で、封建時代の日本を舞台にした理由、『アサシン クリード シンジケート』からデュアル主人公システムがどのように改良されたのか、そしてこの最新作が『オリジンズ』『オデッセイ』『ヴァルハラ』から続く RPG メカニクスの連続性と進化の中でどのようにフィットしているのか……といったことも、さらに詳しく知ることができました。

ファンは長年、日本を舞台にした『アサシン クリード』を待ち望んでいましたが、なぜ今がそのタイミングだったのでしょうか?

Charles Benoit私達は、新作を開発する度に過去と未来のプロジェクトとの間で、その幅広い設定の可能性と、ブランドにとって何が最善なのかを検討しています。今回は戦闘とステルスという 2 つの柱を中心とした場合、侍や忍といった日本独自の世界観と最もマッチしていると感じられたので、封建制時代の日本が最適だと判断しました。

侍や忍といった設定はゲーマーにとって馴染みのあるものですが、このゲームではその設定をどのように差別化しているのでしょうか?

Benoit戦国時代末期は、日本史における大きな転換期です。『アサシン クリード』シリーズは、その歴史描写と緻密な世界再現で知られていますが、『アサシン クリード シャドウズ』でもそのこだわりを発揮できます。

本作は、織田信長のような実在した歴史上の人物や当時の出来事を忠実に描いているので、封建時代の日本を舞台にゲームを楽しみながら、この素晴らしい時代について学ぶことができます。

プレイヤーの皆さんは日本が誇り、日本史上にも活躍の記録が存在する「侍」と「忍」を体験することができるのです。

舞台は日本のどこでしょうか?

Benoit現代で言えば、日本の中部地方や関西地方です。天下統一と織田信長の領地にまつわる出来事の大部分が、その周辺地域に集中していたからです。プレイヤーの皆さんは、大阪や京都といった有名な都市だけでなく、現在でも参拝できる数百の神社や寺院もあります。この世界を再現するにあたっては、スケールの感覚を維持しつつ、これまでで最も深く入り組んだオープン ワールドを作り上げることを目指しました。

このゲームのストーリー設定について教えてください。

Benoitネタバレを避けるために、『アサシン クリード シャドウズ』の全体像についてお話しします。

物語の背景やキャラクターのストーリー、そして 2 人の主人公、「弥助」と「奈緒江」が協力するに至るまでの経緯を理解していただくために、2 人を順次紹介していく流れになっています。

主人公たちが仲間同士になると、皆さんは様々な視点を通してストーリーを追うことができるようになります。中には弥助や奈緒江の個人的なストーリーもあれば、2 人共通の目的にまつわるストーリーも用意されています。『アサシン クリード シャドウズ』の世界と物語はオープンな構成となっており、好きなキャラクターを選んで、好きなように世界を探索することができます。

本作は『シンジケート』以来、プレイヤーが 1 回のプレイで 2 人の異なるキャラクターを操作できます。このシステムを採用した背景を教えてください。

Benoit封建時代の日本という設定と、ゲームプレイの側面から達成したいことを考えたとき、自然とそうなりました。そもそも忍のイメージは、『アサシン クリード』にピッタリなので、日本を舞台にするなら忍は登場させたかったのです。忍は諜報活動や暗殺を通して密かに活動する存在であり、『アサシン クリード』のテーマと非常に合致しているように感じています。

同時に、侍は封建時代の日本を象徴する身分でもあったので、プレイヤーにその体験をしてもらいたいと考えました。侍と忍を両方とも正確に体験するには、キャラクターが 1 人だけでは表現しきれません。侍と忍は、生き方、社会階層、日本社会における役割という点で全く異なる存在だからです。

そこで、2 人のキャラクターと妥協のない設定を取り入れることにしました。また、このシステムは『アサシン クリード』ブランドの柱であるステルスと戦闘を深く掘り下げるのに最適でした。異なるゲームプレイ スタイルを 2 人のキャラクターに割り当てることで長所を引き出すことができ、それぞれに適したチャレンジを生み出すこともできます。

2 人のキャラクターは自由に切り替えられるのですか?

Benoit: はい、2 人が一度合流すれば、弥助と奈緒江はいつでも切り替えることができます。もちろん、戦闘中や潜入中はできませんが、プレイヤーに選択の自由を与えています。

ゲーム内では、特定のキャラクターで行動することになる場面もあります。例えばキャラクターの登場時、個人クエスト中、そして特別なミッションで 2 人のキャラクターが同時に登場する場合などです。ですが、ゲームの大部分においては、プレイヤーは自由に遊びたい主人公を選択することができます。

侍と忍という存在は、ファンにとってまさにファンタジーの世界とも言えます。ゲームプレイを通して、どのような時代劇的体験が待ち構えているのでしょうか。

Benoit: 本作での体験は様々な要素によって表現されています。武器、装備、スキルは、それぞれのキャラクターの特徴を最大限に引き出すために、それぞれに固有のものとなっています。例えば、奈緒江は忍者の伝統的な道具を使用し、弥助は様々な武器を選択することができます。

各キャラクターはユニークな能力を持っています。例えば、忍であれば素早くて身軽であり、さらにグラップリング フック (鉤縄) を使って壁走りを極めることができます。侍の弥助は桁外れの身体能力で、敵の攻撃を防いで弾くことも、扉を壊したり大きな物体を運んだりすることもできます。

2 人はプレイスタイルだけでなく、世界の見方、そして世界から見られ方も大きく異なっています。例えば、弥助は人々から畏れられる身分のため、頭を下げて挨拶されることもありますが、奈緒江は周囲に溶け込んで目立ちません。

侍と忍の両方を登場させることで、アクションとステルスという 2 種類の『アサシン クリード』を同時に体験させようとしているように感じられます。これは意図的なものでしょうか?

Benoit はい、その通りです。『アサシン クリード』は 10 年以上前からステルス アクションで知られていましたが、『アサシン クリード オリジンズ』以降は RPG 要素を強めると共に、戦闘要素がより重要になっていました。

忍は隠密行動に優れ、侍は高度な戦闘技術を有していることを踏まえ、これまで培ってきた両方の側面を完全に満たすことを目指しています。

最新コンソールの持つパワーは『アサシン クリード シャドウズ』でどのように活用されているのでしょうか? グラフィックが『ヴァルハラ』や『ミラージュ』からどのように進化したのか教えてください。

Benoit 今回、旧世代ゲーム機を含めたクロスジェネレーションではなく、完全に新世代のコンソールに向けて開発するため、ゲーム エンジンを刷新しました。これにより、グラフィック品質を飛躍的に向上させることができ、これまでで最も美しい『アサシン クリード』を作り出すことができました。

グラフィックの向上だけではなく、一年を通して四季折々に変化していく様子を見渡せるようにもなりました。 冬には、かつて小さな池だった場所が凍結している様子や、隠れるための葉がなくなった茂みがあったり、深い雪が積もって中で伏せたまま敵に気づかれにくくなったりします。

さらに、照明を改善するために RTGI (リアルタイム グローバル イルミネーション) システムを開発し、光と影を追加することでステルス体験をさらに向上させています。暗闇の中で姿を消したり電気を消したり、特定のエリアを破壊して暗闇のゾーンを作ることで、闇に隠れることができるのです。

RPG システムについて、『ヴァルハラ』や過去の『アサシン クリード』シリーズからどのように進化しているのでしょうか?

Benoit 『アサシン クリード シャドウズ』は、『オリジン』や『オデッセイ』、『ヴァルハラ』で築き上げた RPG システムを継承、進化させたオープンワールドのアクション アドベンチャー RPG です。

過去のプロジェクトで培った経験を生かし、本作に最もふさわしい仕組みを取り入れ、改良を加えることで RPG 体験に磨きをかけています。

奈緒江と弥助の同盟システムなど、プレイヤーを驚かせるような新しい RPG システムも追加していますが、これについてはまた後日発表させていただきます。

※この記事は米国時間 5 月 15 日 に公開された “How Assassin’s Creed Shadows Will Blend Two Distinct Adventures in One” を基にしています。