『Minecraft』が 15 周年を迎えたことを記念して、これまでの歴史を振り返ってみたいと思います。史上最も重要で最も売れているゲームのひとつ『Minecraft』と開発スタジオ「Mojang」の旅は、1 人のクリエイターから始まり、真に世界を変える提案へと発展していく過程は、まさに信じられないものでした。
以上を踏まえて、『Minecraft』の歴史を年ごとのハイライトで振り返ってみましょう。
2009 年: Java Classic Edition の発売
2009 年 5 月 16 日、すべてが始まりました。『Infiniminer』や『Dungeon Keeper』といったゲームに影響を受けた Markus ‘Notch’ Persson 氏は、その 1 週間前に『Cave Game』というシンプルな名称で開発を進めていました。よりキャッチーなタイトルとして、『Minecraft: Order of the Stone』というタイトルになります。その後、さらにキャッチーなタイトルとして、わかりやすく『Minecraft』とすることにしました。『Java Classic Edition』と呼ばれるこの初期バージョンは、現在のゲームとは大きく異なっていますが、その基礎的な要素はすでに内包していました。
このバージョンでは、世界を生成して、自由に掘ったり建てたりして、そのテクニカラーな世界で幾何学の楽園を自由に作り出すことが可能となっていました。そして、『Java Classic Edition』は一年をかけてクリエイティブ モードとサバイバル モードに分かれ、私たちが 10 年以上に渡って楽しみ続けている『Minecraft』へと少しずつ姿を変化させていきます。
2010 年:『Minecraft』にクラフト システムが登場! トロッコとマルチプレイも追加
2010 年 1 月には、『Minecraft』プレイヤーが 10 万人を超えました。しかし、ゲームタイトルにある “Craft (クラフト)” の部分を充実させるなどといくつかの基本的な改良が必要でした。1 月後半にはクラフト システムが追加され、おなじみの木、鉄、ダイヤといったアイテムの「レベル」システムが導入され、ゲームの遊び方も一変しました。掘る、採る、クラフトを繰り返す……というサイクルがここで生まれたのです。
大きな変化はこれだけではありませんでした。6 月にはトロッコがゲーム内に登場し、ワールド内をプレイヤーの移動方法を変革させます。8 月には『Minecraft』における人気の一つの柱であるサバイバル モードでのマルチプレイが実装されます。このバージョンで初めて、友達と一緒に遊ぶことがこのゲームにとってどれほど大きなものになるのかを垣間見ることができたのです。
2011 年:『Minecraft』 1.0がリリース。そして最初の移植版が登場
『Minecraft』がどれくらい急成長したのかを知りたい方には、これをお伝えすべきでしょう。2011 年 1 月、『Minecraft』は 100 万人のプレイヤーを獲得し、さらにその半年後の 7 月にはプレイヤー数が 1000 万人になっていたのです。しかもこの驚異的な成長は、ゲームが正式な 1.0 バージョンがリリースされる前のこと。1.0 バージョンは、その 4 カ月後である 2011 年 11 月 18 日にリリースされました。このバージョンは後に『Minecraft Java Edition』と呼ばれ、同日に開催されたイベント Minecon 2011 にて発表されました。このバージョンでは、すでに何百万人ものプレイヤーが愛していたゲーム内容をさらに多くの人々に届けることができ、ボス戦であるエンダー ドラゴンとの戦いというエンディングも追加されました。
さらに 2011 年は、『Minecraft』が初めて PC 以外のプラットフォームにも移植された年でもあります。8 月に『Minecraft: Pocket Edition』がスマートフォン (Android) の Xperia Play 向けに独占配信され、続いて iOS 版がリリースされました。こうした小さな始まりから、『Minecraft』はその後、何年もかけてほぼすべてのゲーム デバイスに移植され、現在の世界的な現象へと発展を遂げていくのです。
2012 年:『Minecraft』がレゴ化! Xbox 360 版が登場! プリティースケアリー アップデート配信!!
『Minecraft』が単なるゲーム以上のものになった瞬間のひとつと言えば、LEGO からブロック版『Minecraft』を公式セットとして発売したときでしょう。「LEGO Minecraft マイクロワールド」では、スティーブやクリーパーのミニフィギュアが付いた、キューブ状の小さな情景を再現したものが 4 種類ほど発売されました。
そして、2012 年はゲーム業界にとって重要な年でもありました。この年の 5 月に『Minecraft: Xbox 360 Edition』が発売され、初めてコンソールに登場したのです。これで何百万人もの新しいプレイヤーが『Minecraft』に触れることになります。ここで発売されたコンソール版が、PC 以外に向けて発売される『Minecraft』の土台となりました。現在では、PlayStation、Nintendo などほぼすべてのコンソールに『Minecraft』は登場しています。
そして、2012 年 10 月 25 日にプリティースケアリー アップデートという大型アップデートが配信となります。このアップデートでは新しいモブが多数追加されただけでなく、ゲーム史上最も重要なブロックの 1 つであるコマンド ブロックが実装されました。コマンド ブロックよってプログラミング要素が追加され、壮大なアイデアを実現させた独創的な作品が次々と生まれてくることになったのです。
2013 年: レッドストーン アップデートですべてが一新! 乗馬も可能に!!
もし 2012 年のコマンド ブロックが特別な体験の幕開けだったとすれば、2013 年のレッドストーン アップデートはその体験がさらに特別になった瞬間でしょう。ゲーム内の様々な要素に電力を供給できるブロックとしてレッドストーンが導入されたことで、新たな可能性の扉が開いたのです。レッドストーンは、感圧板に電力を供給したり、レールの動作を変更したり、さらには日光を検知するなど、さまざまな用途に利用できるようになりました。プレイヤーたちは、レッドストーンを使うとどんなことができるのかを学び進めながら自身の作品をどんどん進化させ、ついにゲーム内で 8 ビット コンピュータを作動させることにまで成功します。
もう少し気楽な話題としては、ホース アップデートが登場しました。これはゲームのより愛らしい方向性を掘り下げるもので、ブロックで作られた馬を飼いならし、乗馬で世界を旅することができるようになりました。注目すべきは、Mojang がこのアップデートを制作するにあたって、コミュニティと密に連携したことでしょう。このホース アップデートは、当時存在していた Mo’ Creatures という MOD (改造プログラム) にインスパイアされたものだったのです。Mo’ Creatures は『Minecraft』に様々な動物やモンスターを追加する MOD で、この MOD はファンによって開発されていました。Mo’ Creatures は、『Minecraft』がファンと共に進化を遂げたことを示すひとつの好例と言え、このコラボレーションの過程で多くのファンが Mojang での開発にも携わるようになりました。
2014 年: マイクロソフトが Mojang を買収
2014 年の出来事がなれば、私がこの記事を書いていることはなかったかもしれません。この年、マイクロソフトは『Minecraft』がいかに世界を揺るがす体験になるかを見据え、Mojang を 25 億ドルで買収しました。2 年間の綿密な協力関係を経て、2 つの企業は手を携え、ゲームの未来を作るために力を合わせることになります。それから 10 年、『Minecraft』は成長を続けています。
また、バウンティフル アップデートが配信され、ゲーム自体が大きく改善されました。10 カ月以上かけて開発されたこのアップデートでは、ゲームのコードベースに大規模な変更が加えられ、目に見えない部分も含めて多くの要素がアップデートされたのです。しかし、それだけではありません。浮遊島、海底神殿、殺人ウサギなど、他にも多くの新要素が追加されました。
2015年: Minecon が記録を塗り替え、HoloLens のデモが注目を集める
2010 年に始まった Minecon は、『Minecraft』ファンを一堂に集めて行われるイベントです。元々はささやかな催しが開かれていましたが、2015 年の Minecon は記録的な大イベントとなりました。ロンドンで開催された Minecon 2015 のチケット販売数は10,000枚に達し、単一のゲームとしては史上最大のコンベンションとしてギネス世界記録に認定されたのです。
また、2015 年は Mojang がいかに独創的なアイデアを持っているかを示した年でもありました。『Minecraft』でHoloLens を使ったデモは、近年で最も話題となった E3 でのプレゼンテーションのひとつだったと言えるでしょう。この MR (複合現実) ヘッドセットは、現実世界の中に『Minecraft』の世界の一部が実在するかのように描き出すことができ、誰も想像しなかった新たなゲームの視点を提供しました。最終的に製品化はされませんでしたが、Mojang がいかに自社のゲームに対して飽くなき創造性を発揮しているのかを示す形になりました。
2016 年: 1 億セールスを達成!『Minecraft: Education Edition』も発売
『Minecraft』ブームが世界的な現象となったことはすでに疑いの余地はありませんでしたが、2016 年にはついに販売本数が 1 億本を超え、これまでで最大の節目となりました。2016 年には、毎日 53,000 人が『Minecraft』を購入しており、南極大陸でも 4 本売れたそうです。現在の販売本数はその 3 倍を超えましたが、『Minecraft』が史上最も愛され、重要なゲームの 1 つとしての地位を確立したのは、この年だったのです。
その影響力は非常に強く、2016 年には『Minecraft: Education Edition』 (現『Minecraft: Education』) が発売されました。Xbox Game Studios と共に開発されたこのバージョンは、学校の教室で使用されることを目的としており、子供たちが共同で建造したり、ゲーム内での教育者から学んだりすることができるようになっています。またアップデートにより、サイバー セキュリティや自然史など、学習に役立つワールドが追加されるようになりました。
2017 年: ベター トゥギャザー アップデートでプレイヤーの結びつきが強まり、Minecraft マーケットプレイスはプレイヤーに新たな活躍の場を与える
『Minecraft』のコンソール版が発売されて何年か経ちましたが、2017 年のベター トゥギャザー アップデートはそれをさらに重要なものにしました。『Bedrock Edition』を持っている人なら、プラットフォームの垣根を越えて、誰でもどんなデバイスからでもオンラインで一緒に遊べるようになった画期的な年となったのです。これは大きな一歩であり、『Minecraft』ならではの進歩だったとも言えるでしょう。
その同じ年、Mojang はコミュニティへのコミットメント強化を発表、クリエイターが作成したスキンやテクスチャ パック、マップ等を Minecraft マーケットプレイスで販売できるようになりました。『Minecraft』の成功に大きく貢献してきた Modder (改造データを作る人) たちは、何百万のプレイヤーからアクセスできる場所を提供してもらい、自分たちの作品で収益を得ることができるようになったのです。
2018 年: アクアティック アップデートが新たな世界を切り開く
地球の 70% は水で覆われています。あなたの『Minecraft』の世界では異なるかもしれませんが、この世界の大部分を占める水中には、普段は見ることができない空間が広がっています。アクアティック アップデートでは、『Minecraft』の海に新しいモブやブロック、謎が追加されました。
イルカやカメ、おぞましい溺れた敵まで、海の中にはたくさんの遊びがありました。埋もれた財宝、難破船、サンゴ礁などがそれです。
2019 年: マインクラフト 10 周年! そしてヴィレッジ アンド ピレッジ アップデートが配信
ゲーム業界における 10 年はとても長い時間ですが、『Minecraft』にとってはほんの始まりに過ぎませんでした。『Minecraft』の 10 周年記念は大々的に祝われ、ゲーム内にインタラクティブな博物館のような美しいマップと、これまでの進化を振り返るために『Classic Edition』が再リリースされました。
また、ヴィレッジ アンド ピレッジ アップデートが実施され、世界が新しい姿で広がりました。刷新された村 (と、その村人) がバイオーム全域に出現し、取引や職業などより多くの交流方法が提供されました。この平和な雰囲気を乱す存在として、ピリジャー (略奪者) という新しい敵対勢力が追加。ピリジャーはマップを徘徊し、プレイヤーの邪魔をしてきます。また、これはとても喜ばしいことですが、パンダも追加されました。
2020 年: ネザー アップデートで地下深くへ。そして『Minecraft Dungeons』が登場
ネザーは長い間、『Minecraft』プレイヤーにとって魅惑と畏怖の対象であり、ゲームに対してまったく別次元の雰囲気をもたらしていました。しかし、ネザー アップデートによってこの危険な世界は一変し、新しいバイオームとモブが追加され、単に危険な場所から探索すべき新たな領域へと変貌しました。
その一方で、Mojang はこれまでで最大のスピンオフ作品『Minecraft Dungeons』をリリースしました。この作品は、オリジナル版の基本要素にひねりを加え、全く新しいアクション体験となっています。Double Eleven と協力して作られたこのゲームは、『Minecraft』の世界をストーリー主導という新しいアプローチで描いており、おなじみのアイテム、モブ、ブロックなどがダンジョン攻略の必需品として登場します。
2021 年: 『Minecraft』が YouTube の再生回数 1 兆回を突破! ケイブ & クリフ アップデート配信!!
YouTube は『Minecraft』の歴史において非常に重要な役割を担っています。世界中のクリエイターがゲームを楽しみ、その実況プレイを共有し、結果として彼らクリエイターは有名になりました。両者がどれほど密接に関係しているかは、『Minecraft』のYouTube再生回数が 1 兆回を突破した最初のエンターテインメント フランチャイズであるということでも明らかです。これを受け、YouTube は次のように語っています。「1 兆回の再生がすべて 1 秒であったとしても、全てを終えるのに 3 万年以上はかかります。そこで、私たちからの忠告です。すべての『Minecraft』映像を見ることは諦めてください」
またゲーム内では、2 つのパートに分けなければならないほど大規模なアップデートが行われました。ケイブ & クリフ アップデートは、Mojang がこれまでに行ったアップデートの中で最も野心的なもので、新しいモブやアイテム、ブロックの追加だけでなく、新しいバイオームそのものの追加や、『Minecraft』の世界を生成する際のロジックが大幅に刷新されました。
2022 年: 新しいデフォルト スキンが追加! ワイルド アップデート登場
スキン変更は以前から簡単でしたが、2022 年になると、古き良きデフォルト スキンであるスティーブとアレックスだけであることに少し寂しさを感じていたかもしれません。そこで今回登場したスキンが、ヌール、サニー、アリ、ズーリ、マケナ、カイ、エフェです。プレイヤーがゲームの世界に入るとき、これまで以上に簡単に自己表現できるスキンとなっています。
2021 年のケイブ & クリフ アップデートに続くワイルド アップデートでは、さらに多くの新バイオームが追加されました。その中でも特筆すべきは、地下だけに存在する古代都市を発見できる「ディープダーク」と、そこに潜む恐ろしい盲目の敵「ウォーデン」です。 そして、カエルも登場しました!
2023 年:『Minecraft Legends』という新たな冒険が追加! トレイルズ & テイルズ アップデートがリリース
『Minecraft Dungeons』は序章に過ぎませんでした。2023 年には『Minecraft Legends』が登場し、『Minecraft』をどのようにアレンジできるかについて、新たな可能性を指し示したのです。このアクション ストラテジー ゲームでは、オーバーワールドを俯瞰できるようにズームアウトされた世界で、ピグリンの大群からオーバーワールドを守るためのモブの軍勢を率いることになります。
『Minecraft』本体では、トレイルズ & テイルズ アップデートにより自己表現の手段が新しくなり、砂漠バイオームに考古学が追加されたことによって、新しいストーリーも追加されました。新登場のレアな桜バイオームを見つけたらラッキー! 新しく追加された新モブのラクダは、あなたと友人の二人を背中に乗せることができます。
2024年: 未来への展望
2024年、『Minecraft』は 15 周年を迎えます。これを機に Mojang は少し休むだろうと思われたかもしれませんが、そんなことはありません。すでに発表されている大規模なセールに加え、まもなく登場するトリッキー トライアル アップデートはもちろん、まだ明かされていない秘密まで、この 15 周年のお祝いはまだまだ続きます。余すことなく楽しみましょう!
※ この記事は米国日時 5 月 17 日に公開された “The Most Important Moments in Minecraft’s First 15 Years” を基にしています。