『ディアブロ IV: 憎悪の器』トレーラーの背後に潜む残忍性

Xbox コミュニティの皆さん、こんにちは! このたび Blizzard Entertainment は、「Xbox Showcase 2024」に参加し、10 月 8 日発売の『ディアブロ IV: 憎悪の器』で鬱蒼としたジャングル「ナハントゥ」へと冒険の舞台が広がることを発表しました。こちらは今すぐ、予約購入いただけます。

『ディアブロ IV: 憎悪の器』は「スタンダードエディション」「デラックスエディション」「アルティメットエディション」から選択でき、各エディションの特典として、ユキヒョウの「アルコル」というサンクチュアリの放浪者に付き添うペットが手に入ります。各エディションの特典や『ディアブロ IV: 憎悪の器』の情報について、詳しくは「ディアブロ」公式サイトのブログをご覧ください。

「Xbox Showcase 2024」では、『憎悪の器』のトレーラーを初公開しました。ゲーム内に限らず、自社の映像製作技術は Blizzard Entertainment の誇りであり、制作は Story and Franchise Development (SFD) チームが担当しています。SFD チームは、社内リニア メディア スタジオのようなもので、アニメーション、短編映像、ゲーム内キャプチャ、書籍などを担当し、ライター、アーティスト、ディレクター、アニメーターをまとめて、ゲーム開発チームと連携しながら Blizzard の世界に生命を吹き込むサポートをしています。

ネイレルと母親のヴェナード。ストーリー ボードから、プリビジュアライゼーション、完成映像までのトレーラーの制作過程

「Xbox Showcase 2024」で初公開したトレーラーは、『ディアブロ IV』のキャンペーンが終了したところからの地続きで、「ディアブロ」が主題とする邪悪と残忍性が存分に描かれています。ただし、映像監督の Doug Gregory (ダグ グレゴリー) が語るように、残酷な描写にはその背景が必要です。

「残酷な描写があっても、ネイレルと母親との関係性に真実味がなければ、脈略がありません。母が生きていると一瞬信じたのに、それが覆され、同行人が容易に人の精神状態を弄ぶことのできるメフィストだと気づくという苦しみこそが、真に迫る苦痛となるのです」とグレゴリーは言います。

隙を見せたネイレルがヴェナードに付け込まれるシーンのプリビジュアライゼーション

人の揺れ動く姿に感情が添えられたとき、それを見る人とのリアルなつながりが築かれると思っています。「悪魔は、母の死に対する罪悪感を弄びます。そして、ネイレルは世界そのものの重荷に苦しんでいます」とグレゴリーは言います。「ネイレルは若くして、友人の死を幾度となく目にしたことで、自分自身を責めており、そのうえ母親の死にも直面しています。そうした重荷を彼女は背負いながら、ソウルストーンを運んでいるのです。リーダーとして尊敬していた 2 人の人物には石が扱えなかったため、まだ若い彼女が、メフィストを運びながら世界の重荷を背負い込み、進んでいるのです」

ヴェナードに表面処理を施している制作途中の画像

では、このように複雑な設定を、まったく新しい拡張キャンペーンのオープニング映像で伝える際に、SFD チームは何から始めるのでしょうか。「語り手である私たちは、披露できる相違点を探すと同時に、人々の心を動かしたいという熱い思いを変わらず目標に据えています。そこで、ネイレルの今の状況を伝える必要がありました。最後に見てから彼女はどんな経験をしてきたのか、そして今ソウルストーンはそこで何をしているのかを考えました」とグレゴリーは説明します。ソウルストーンの存在や、その影響が劇物のごとく周囲の物や人すべてに及ぶことについて、チームは考えをめぐらせたそうです。「ネイレルが運ぶそれは、周囲のあらゆるものを破壊し、彼女の内側を徐々に侵食していきます。まさしく、自分の愛するものすべてが奪われていく様子です。それでも、彼女は運びます。これが出発点となっているので、ネイレルは熱に浮かされ、汗ばみながらも、悪魔を封印しつづけるために祈りを唱えようと必死になっています」

イコルに覆われたヴェナードのビジュアル原案を示すコンセプト アートの一部

ネイレルは耐えようとしますが、失敗を犯します。「ネイレルはほんの僅かにですが意識を手放します。はっと自制を取り戻しますが、そのとき船頭が手を差し伸べようとして、かえって彼女の祈りを邪魔してしまいます。苛立ちが生じ、それがメフィストに隙を与えました。メフィストはその弱みを見出し、彼女が今、自分の感情を制御できないことに付け込みます。それを利用し、食い物にします。ネイレルは意識を奪われ、そこで母と再会します。母が居座ることを許し、警戒心を解いてしまうのです。メフィストによって創られた母親の幻が打ち壊されるとき、大きな感情の揺らぎが生まれます。見ている人にも伝わっているといいですね」

メフィストの体内の原案を示す制作途中のコンセプト アート

今回のトレーラーにおいて最も衝撃的な映像は、巨大な姿をしたメフィストがいて、ネイレルがその心臓として機能しているのを描いた最後のシーンだろうとグレゴリーは説明します。ネイレルが抱く絶望が黒い血液となってメフィストの血管を満たし、その邪悪な肺を再び生気付けているのです。グレゴリーいわく、今回の映像はこのイメージを出発点に生まれており、深い意味を持った、インパクトの強い映像にするためにチームと力を注いだそうです。

「ネイレルがメフィストの心臓、つまり体内の燃料装置になるという発想です。素晴らしいアイデアで、企画の骨子として最高のものでした。そこでライターと私は、このイメージを念頭に、私たちの見ているものを、どのように視聴者の感情をも震わすものにできるのか、という答えを見つける必要がありました」とグレゴリーは言います。「内容をより訴えかけるものにする道のりの中、ネイレルが自分の愛する人と築いた関係性や、彼女の愛情や不安といった流れ出る感情を糧に巨大な存在が再生を続ける様子について考え、そのイメージに視聴者の感情が結びつくような体験を描き出しました。視覚をめぐるだけでなく、さまざまな感情をもめぐる冒険を生み出すのが、私たちの本分と言えます。この作品が人々の心に確かに響いたなら、本当にうれしいです」

ネイレルがどうなるのかを描いた初期段階のコンセプト アート

グレゴリーにとって、このトレーラーを公開する際に一番うれしかったのは、才能あるチーム メンバーと共に働いて、お互いのクリエイティビティを高め合ってきた成果を見られたことだそうです。「正直なところ、私は Blizzard で 14 年間この仕事に携わってきました。イラストレーターとしてキャリアを始めて、漫画やカード ゲームに関わっていたときは、すべてを自分でやり、自分の小さな部屋の中、独りで仕事をしていました。Blizzard で歩みだしてからは、どうやったら人々に自分と同じ目標に向かって共に歩んでもらえるのかを知ることが大切でした」とグレゴリーは言います。「映像監督となった今、隅っこで独り仕事をしていた幼さに別れを告げ、その空間に人々を入らせるようにすることが必要です。何かに向けて取り組むこと、そして私が好きで尊敬していて、一緒に働けて楽しい人たちと共にプロジェクトに取り組むことには、本当にやりがいがあります。このトレーラーは、まさにみんなで成し遂げたのであって、チームのいない部屋で独り仕事をしていたら永遠に到達することのできない高みといえます。そこに上り詰められたことは、私にとって価値のあることですし、映像監督とはそういうものだと思っています。独りで歩まなくて良いので、楽しいです。みんなと一緒に作ることで、自分だけでは決して築けないような大きなものを築けるのです」

「私たちは巨大クリエイター集団です」とグレゴリーは話を締めくくり、『ディアブロ IV』のこれまでの物語が『憎悪の器』で待っている出来事のほんの始まりにすぎないことが強調されます。新クラス「スピリットボーン」としてサンクチュアリに降り立ち、一緒に戦ってくれる傭兵の雇用、密林地帯ナハントゥの探索、そして仲間と力を合わせる新たな協力型 PvEを体験ましょう。さらに本日、ゲーム内でのペットの無料配信を発表しました。今すぐログインし、新しい友たちと出会いましょう!

今回の発表について、詳しくは「ディアブロ」公式サイトのブログをご覧ください。10 月 8 日に備えて最新情報をチェックできます。皆さん、サンクチュアリで会いましょう!

※この記事は米国日時 6 月 9 日に公開された “The Brutality Behind the Diablo IV: Vessel of Hatred Cinematic” を基にしています。