『Microsoft Flight Simulator』の「World Update XVII」は史上最大のアップデート
概要
- 『Microsoft Flight Simulator』の最新ワールド アップデートでは、ファンからの要望が最も多かった地域のひとつであるイギリスとアイルランドです。今回は最新のフォトグラメトリ技術に改良が加えられました。
- この無料アップデートには、高品質の手作り空港、多数の Point of Interest (POI)、着陸チャレンジ、ディスカバリー フライト、ブッシュ トリップも含まれています。
- 「World Update XVII: United Kingdom & Ireland」は、Xbox Series X|S、Windows PC、Steam 版の『Microsoft Flight Simulator』でご利用いただけます。
『Microsoft Flight Simulator』は、2020 年の発売以来、非常に活発なサポートを受けてきました。特にワールド アップデートでは、世界各地の詳細な描写の向上、空港の追加、アクティビティの充実など、フライト シミュレーター ファンの皆様にお楽しみいただける要素が数多く導入されてきました。そして今回、「World Update XVII」において、本作はイギリスとアイルランドに戻り、ファンが最も求めていた地域のひとつをアップデートします。
改善された空港、数多くの POI、新しい着陸チャレンジ、ディスカバリー フライト、ブッシュ トリップに加え、イングランドとスコットランド、ウェールズ、アイルランドの大部分を対象とした高解像度の DEM (デジタル標高モデル) データを使用した新しい航空写真を全域に導入しました。これは、『Microsoft Flight Simulator』のワールド アップデートとしては過去最大規模となっています。
「World Update XVII」は最新の航空画像、LIDAR (光検出と測距) データ、TIN (三角形不規則ネットワーク) サーフェス モデリング、そして手作りの空港を統合しており、開発チームが利用している様々なデータの品質の向上について、より深く知ることができます。これは、今後のフランチャイズのために基盤を築いているのです。
「特にビッグ データの世界において、『Microsoft Flight Simulator』(2020年)と『Microsoft Flight Simulator 2024』の間で世界を共有することになります」と『Microsoft Flight Simulator』責任者の Jorg Neumann (ヨーグ ニューマン) 氏は説明します。「私たちはタイトル間で 2 つの異なるデジタル ツイン (リアル空間の情報を仮想空間で再現する技術) を持つことはありません。ロンドンなどの都市、POI、DEM、航空画像はすべて共有されます。『2024』で異なるのは、プレイヤー側に送られるデータを最適化したことです。そのため、より多くのデータをクラウドに置きつつ、より多くのことができるようになりました。木の種類が 23 種類から約 200 種類に増えたのもその一例です。これにより最終的により正確な情報を提供できるようになりました。どちらの世界にも木は存在しますが、一方は少しだけ種類が限られ、もう一方はより精巧なものになっています。ですが、ご覧になる世界は同じです」
『Microsoft Flight Simulator』の「World Update XVII」を語るうえで、「洗練された景色」は重要なキーワードです。新型カメラの活用から正確なデータ レベルまで、このアップデートの背後には、これらの地域が初めてマッピングされたときには利用できなかった最新技術が、プロジェクト全体で活用されています。このアップデートはファンから長らく要望されていたというだけでなく、開発チームが以前から取り組みたかったプロジェクトだったのです。
「私たちは航空写真からリアルな 3DCG を生成する「フォトグラメトリ」を使いましたが、あまり良い結果になりませんでした。たしかに都市は存在しましたが、全体的に暗く、建物の影は黒すぎて、さまざまな問題がありました」とニューマン氏は説明します。「コミュニティからは、ロンドンをアップデートしてほしいという強い要望が寄せられていました。なので、私はいつもロンドンを何とかしなければと考えていたのです。そして、Bing チームと一緒に仕事をしていたとき、イギリスをちゃんと正しく作りたいとよく話していたのです」
「また、私たちは World Update III を「United Kingdom and Ireland」としてリリースしましたが、実際はイギリスだけでした。アイルランドにはほとんど何もせず、フォトグラメトリについてはまったくデータがありませんでした。そのため、再検討が必要な地域のひとつだったのです。アイルランドの人たちから、ちゃんと都市があるのだからもう少し手を加えてほしいというメールが届いていました。私たちはこれを、ずっと心に留めていました。彼らのそうした意見は、決して意地悪しようとしているわけではありません。真っ当で、建設的な意見を述べているのです。そこで、私は “よし、アイルランドに飛行機を飛ばして、より多くのデータを集めよう” と言ったのです」
ニューマン氏によれば、今回のアップデートによって洗練された景色を楽しめる地域の範囲はかなり広くなっているとのことです。これまでのワールド アップデートでは 3~4 都市程度の範囲なのですが、今回は 16 都市近くあります。これは Bing チームと良好な関係性を築けたおかげです。彼らは過去 2 年間にイギリス上空を飛行し、従来よりもはるかに高解像度な画像を新型カメラで、テストも含めて撮影してきたのです。 「『Microsoft Flight Simulator』を発売した当初、ロンドンはどちらかと言えば都市部の小さなエリアだけが精巧で、撮影データも限られたものしかありませんでした。しかし今では、ウェリングからウェンブリー、ウィンブルドン、そしてグレーター ロンドン全域を含む巨大なエリアをカバーして、そのサイズは 4 倍になったことに加え、解像度も大幅に向上しました。現在のロンドンについては、約 1800 平方キロメートルの航空写真をデータとして持っています。プログラミング面では、Bing チームが道路専用の新しいアルゴリズムを開発しました。そのため、道路はよりきれいで平らになっています。以前はデコボコしていて、最適化されていませんでしたから。私たちは Bing チームとのパートナーシップによって、大きな恩恵を受けています」
「World Update XVII」の開発を後押ししたもうひとつの要素は、EU がデータに関する政策を更新したことです。より多くの人々にとって有益な情報であれば、それらは無料で提供される必要があるのです。これにより、開発チームは非常に正確な地域のデジタル標高マップを入手できました。以前だと標高データは20メートルからでしたが、今はそれが1~2メートルからのデータとなり、その結果陸地や都市が詳細かつ正確なものになりました。
「ウェールズのスノードン山は、さらに美しく見えるでしょう。スコットランドのハイランド地方は、実際のハイランド地方のように荒々しい姿をしています。私たちが歩き始めたこの道は、まだ始まりにすぎません。世界はセンサーで溢れかえっており、これらのセンサーはどんどん良くなっています。将来、この分野で私たちを驚かせ、喜ばせるような技術革新が間違いなく起こるでしょう。ドローンなどの無人飛行体の普及により、フォトグラメトリの方法も変わるはずです。だから私たちは飛行によって世界をマッピングし、その恩恵をアップデートとしています。こうした技術と共に、可能な限りインタラクティブで美しいマップを表現していくつもりです」
これらの作業は、できるだけ正確な世界のデジタルツインを作るという情熱、共通の夢から生まれたものです。この夢は、「World Update XVII」に協力してくれた Bing、iniBuilds、Gaya Simulations といった『Microsoft Flight Simulator』の協力パートナーと共有されています。また、このコラボレーションは Bing Maps にもフィードバックされ、追加された POI は Bing Maps チームも利用しています。
「おそらく一番うまくいったのは、有名なモハーの断崖でしょう。私たちはその上空を飛行機で飛び、フォトグラメトリを行いましたが、とても素晴らしい出来映えになりました。今日、ビデオ チームと話していたのですが、今回のトレーラーを見た人たちはこの映像が現実のものではないと気づけず、アイルランドのドキュメンタリーを作っているのかと思ったと言っていました」とニューマン氏は述べました。
「こうした取り組みが将来的にも興味深くて面白いと思うのは、世界にはたくさんの切り立った山の崖のような断崖絶壁がたくさんあるからです。そうした地点こそが、フォトグラメトリが真価を発揮する場所であり、その結果この技術は都市部だけでなく田舎でも大きな影響を与えることになると思います。このデータ セットから得られるアドバンテージはそれだけではなく、私たちは未来の一端を垣間見ているのです。きっと素晴らしいものになるに違いありません。」
イギリスとアイルランドの刷新に加えて、いくつかの空港もアップデートされています。イギリスのファーンボロー空港とロンドン スタンステッド空港、アイルランドのコーク空港、スコットランドのサムバーグ空港、ウェールズのカーディフ空港です。Gaya Simulations 社によるスタンステッド空港のアップデートは、ファンが最も期待しているアップデートのひとつであることを、ニューマン氏は強調しました。
「このアップデートは、私たちが Gaya Simulations 社と仕事を始める何年も前に発表されました。素晴らしい空港で素晴らしい再現度なので、ファンは今回のアップデートにとても満足すると思います。『Microsoft Flight Simulator』はコミュニティのために、そしてコミュニティとともに作られている製品なので、コミュニティからのフィードバックや要望は注意深く耳を傾け、それらを実現しようと努力しています。私たちの活動にポジティブな評判があるのは、コミュニティが自分たちの意見を聞いてくれていると感じ、プロジェクトの一員であると感じているからだと思います」
見どころは観光スポットだけでなく、「World Update XVII」で登場する新しいアクティビティも非常に楽しそうです。新しいディスカバリー フライトでは、アイルランドのダブリン、スコットランドのエジンバラ、モハーの断崖などの地域がどれほど詳細に再現されているのかを、実際に体験することができます。「その地域を知ってもらうこと。それが私たちの目標です。できるだけ本物に近い国を作り、ユニークな場所にスポットを当て、人々にイングランドやウェールズはこういうところだと感じてもらうことが目標です。その場所を凝縮し、本当に感じてもらいたいのです」
今回のワールド アップデートと、『Microsoft Flight Simulator 2024』の発売が間近に迫っていることで、以前ニューマン氏が話していたことを思い出されます。この膨大なレベルのサポートは『Microsoft Flight Simulator』(2020 年) と『2024』の両タイトルに恩恵をもたらし、マイクロソフトの長寿フランチャイズの最新作が 11 月に発売された後も、両タイトルのコンテンツに対するサポートがすぐに終了するという考えはない、ということがわかります。
「Game Pass のおかげで、常に新しいユーザーが増えています。数年後に『Microsoft Flight Simulator』(2020年) を購入する人もいるでしょう。その人たちは本作に興味を持っていても最新のハードウェアを持っていないかもしれませんし、隙間時間に気軽に『Microsoft Flight Simulator』をプレイしたいだけかもしれません。そんな人に “遊べるのは最新版だけ” とドアを閉めることは、私にはできません。ですから、いろんな人が両タイトルを楽しめるようにしたいのです。それが私たちの使命であり、できるだけ多くの人にフライトの夢を届けることが目標なのです。なので、『Microsoft Flight Simulator』 (2020年) のサポートは今後も継続します。『2024』ほど技術的に洗練されたものにはなりませんが、多くの人に愛されている素晴らしい製品であり、これを可能な限り最高のフライト シミュレーターにしたいと思っています」
「World Update IX: Northeastern United States」は、『Microsoft Flight Simulator』の無料アップデートとして現在公開中です。『Microsoft Flight Simulator』は、Xbox Series X|S、Windows PC、Steam、または Xbox Game Pass、PC Game Pass でプレイすることができます。また、Xbox One および対応するスマートフォン、タブレット、一般的な PC からは、Xbox Cloud Gaming (Beta) でプレイできます。『Microsoft Flight Simulator』の最新情報については、X (旧Twitter) の @MSFSOfficial アカウントをご覧ください。「World Update IX」の詳細については、MicrosoftFlightSimulator.com をご覧ください(英語)。
※この記事は米国時間 7 月 25 日 に公開された“The Biggest World Update Ever for Microsoft Flight Simulator is its Best Yet”を基にしています。