今年 2 月にライブ配信された「New Year, New Age Show」では、2002 年発売の『Age of Mythology』の (私を含めた) 大勢のファンがリメイク版である『Age of Mythology: Retold』への興奮を露わにしました。オリジナル版の発売からもう 20 年以上経っており、ファンの中ではいつまでも注目タイトルだったかもしれませんが、その元となった『Age of Empires』シリーズほど広く知られていないかもしれません。
しかし、『Age of Mythology: Retold』は今シーズンの最も期待されるタイトルのひとつとなっています。その理由のひとつは、フル リメイクでありながら期待を大きく超えるものを開発元の World’s Edge が 作り上げたからでしょう。オリジナル版に新鮮な塗料を塗ってキレイにしただけではなく、新たなゲーム モードやクラシック ユニットの調整、さらにはまったく新しいプレイ可能な勢力も登場します。『Age of Mythology: Retold』は、長年のファンはもちろん、すべての人のために作られた RTS なのです。
「gamescom」に先立ち、我々は開発元である World’s Edge のシニア ゲーム デザイナー、クリスティン ピリッロ (Kristen Pirillo) 氏に話を聞く機会を得ました。一部のゲーム ファンの間でしか名作ではなかったかもしれない本作を、スタジオがどのようにリフレッシュして期待の作品にまで仕上げていったのか、その理由を明らかにするためです。
『Age of Mythology』は 20 年以上も新作がリリースされていませんが、小規模ながらこのゲームには熱狂的なプレイヤー コミュニティが存在することをピリッロ氏が教えてくれました。「この事実こそが、『Age of Mythology』を他のゲームとは一線を画している部分です。あまり話題が上がらないかもしれないのですが、最も中毒性の高いゲームである可能性を秘めているのです」
「『Age of Mythology』のコミュニティはとても情熱的で、新しいアイディアを生み出す力を持っています。私たち開発チームはコミュニティが最も楽しめタイミングを見計らい、他の『Age of』シリーズで培ってきたノウハウを最大限に活かしました」
『Age of Mythology: Retold』はファンが求めていたゲーム、つまりオリジナルに忠実でありながら、現代的な開発手法による利便性を取り入れたゲームになることを目指しています。『~Retold』のリリースを実現させるためには、野心的なビジョンが必要でした。開発チームは、神話に登場する巨大な軍勢やモンスター、大迫力のゴッド パワーなど、2002 年当時の技術では限界だった要素を最大限に表現したいと考えていました。
これは、オリジナルのユニット モデルとリメイク版のピカピカな新バージョンを比較すると、ゲームのビジュアル デザインが数段よくなっていることは明らかです。壮大なスケール、雰囲気のある世界、そして恐ろしいモンスター……と、ゲームがどのような見た目になるべきか、アート チームは強いビジョンを持っていました。ピリッロ氏は、アトランティスのモンスター ユニットであるアルゴスを例に挙げながら、このプロセスについて説明してくれました。
「『Age of Mythology』のアルゴスは、ただのざらざらした球体にいくつかの触手があるだけでしたが、『~Retold』ではもっと細かく作られています」とピリッロ氏と解説します。「今作だとたくさんの目玉が独立して動いており、それが這いずり回るのでとても気持ち悪いんです。でも、アイディアとしては、ビジュアルのすべてを強化して神話性を最大限に引き出したものになっています」
『~Retold』では 、こういったわかりやすい改良点の他に、オリジナル版から大幅な変更が加えられている箇所があります。特にゴッド パワーの扱いは大きく変わりました。オリジナル版のゴッド パワーは、敵を即座に一掃できたり、リソースを大幅に増やしたりできる非情に強力な能力でしたが、1回の戦闘につき1回しか使用できませんでした。問題だったのは、あまりの強力さゆえにプレイヤーがゴッド パワーを温存しすぎて、結果的に一度も使わずに終わってしまうことが多かった点です。『~Retold』では、ゴッド パワーをヒーロー シューティングのアルティメイトのように再使用が可能となり、試合の緊張感を高めつつプレイヤーに思う存分使ってもらう用にしました。
そして、開発チームが一番心がけて強化したのは、現代のテクノロジーによって一度にあらゆるものをたくさん扱えるようになったという点です。より多くのユニット、より多くのモンスター、より多くのゴッド パワーがマップ全体で躍動します。『Age of Mythology: Retold』は、プレイヤーが解き放ちたかった大いなる力を限りなく再現しているのです。
「私にとって大きな変更点の 1 つは、人口上限の引き上げです。これにより巨大な軍隊を作ることができるようになり、その軍隊は様々な種類のユニットで構成することが可能になりました。モンスターだけの軍隊も作ることが可能で、これはオリジナル版においては不可能なことでした。たとえ勝てなくても、見ているだけでとても満足感があるでしょう」
オリジナル版のファンもすぐに楽しめる変更点
20 年に渡る熱心なコミュニティからのフィードバックのおかげで、あらゆるタイプのプレイヤーに対応できるよう、より良い変更を加えることができます。例えば、オリジナル版『Age of Mythology』では、北欧のパンテオンでプレイする場合、やや難しいとされていました。そこで、開発チームは、より多くの人に親しみやすいように北欧のパンテオンを調整して、誰にとってもプレイしやすいものにしたいと考えました。
「北欧のパンテオンに多くのコンテンツ、新しいユニットや建物を追加し、既存の要素を再調整しました」。とピリッロ氏は説明します。「ミスをした場合のペナルティも大幅に軽減されています」
また、『Age of Mythology: Retold Premium Edition』には新神パック:「フレイ」が同梱されています。これは主要な神といくつかのマイナーな神をアンロックでき、プレイヤーはより多くの選択肢から北欧のパンテオン楽しむことができます」
「本作で北欧のパンテオンを使ってプレイしても、1 つのプレイ スタイルに縛られることはありません」とピリッロ氏は付け加えます。「攻撃的にプレイしたり、1 つのビルド オーダーに従ったりするだけではありません。試合展開のバリエーションが大幅に増え、戦略の幅が広がりました」
さらに、プレイヤーが決めた優先度に従って村人の行動を自動化する機能が導入されたため、経済管理の細かい部分をチェックし続ける必要がなくなりました。戦闘やストーリーに集中したい場合に設定できます。ピリッロ氏が『Age of Mythology』はコミュニティと共に作られたと言っていますが、これは文字通りの意味です。開発チームは 20 年に渡るフィードバックを精査し、昔ながらのインターネット フォーラムを探し回って修正すべき不満点を見つけるとともに、2002 年のオリジナル版発売当時には実装できなかった創造的な提案を見つけました。
「開発チームのデザイナーはかなり調査しましたし、そうした書き込みをしてくれた方々の多くはオリジナル版のファンです」とピリッロ氏は言います。「インディ ジョーンズになった気分でインターネットの考古学レベルまで遡り、当時は何がよかったのかを探り出して、それを『~Retold』に取り入れました」
『Age of Mythology: Retold』は、長年のファンにとって歓迎すべきタイトルになりますが、オリジナル版をプレイしたことがない人にとっても素晴らしいものになるでしょう。2000 年分の神話の貯蔵があるので、ゲームはこれからも進化を続けていくことでしょう。
「RTSが得意でなくても、ストーリーを楽しむことができます」とピリッロ氏は言います。「RTSが得意でなくても、25 体の巨大なクワガタムシを作り、友だちの街を荒らしまくってもいいのです。これは誰もが楽しめる、気まぐれな楽しみ方です」
『Age of Mythology: Retold』は、Xbox Series X|S、PC、Game Pass で 9 月 5日に発売されます。
※この記事は米国時間 8 月 20 日 に公開された“Beyond a Remake – How Age of Mythology Revives and Retools a Beloved Classic”を基にしています。