概要
- 『Ara: History Untold』では、ストラテジーのジャンルにおいて、革新的かつ斬新なアイデアが導入されており、「プレイヤーの時間を尊重する」、「プレイヤーに膨大な選択肢を与える」という 2 つのテーマに重点が置かれています。
- プレイヤーには戦略上の選択肢が豊富に用意されており、自国を勝利に導く方法が多数存在します。
- 『Ara: History Untold』は 2024 年 9 月 25 日に発売予定で、Steam と Microsoft Store で予約受付中です。また、Xbox Game Pass Ultimate、PC Game Pass 加入者は発売初日からお楽しみいただけます。
あらゆるグランド ストラテジーゲームでも、初めてその世界に足を踏み入れる時、その壮大さについ圧倒されるのではないでしょうか。『Ara: History Untold』も例外ではなく、豊富な情報が手元に置かれているため、目当ての情報がどこで見つかるのか、どうすればその情報を効果的に活用できるのかなど理解するには、ある程度の時間 (そして複数のプレイセッション) を要します。個人的には、それが好きなのですが。
今年の gamescom で体験版に触れる機会があり、私は最初の 50 ターン、約 30 分をプレイして、世界を統べるための基盤作りを体感できました。食料生産のための農場 (Farm) の設立や、クラフトのための作業場 (Workshop)の建設、大量の偵察など、それらはグランド ストラテジーでのよくあるフレームワークでしたが、数ターン後には『Ara』のよりユニークな特徴が見え始めました。
そのひとつは、「同時ターン」 (Simultaneous Turns) というコンセプトに基づいて構築された新しいターン制システムで、全プレイヤーが同時に効果的なアクションを行い、ゲームの AI がさまざまな要素に基づき、ゲームマップ上でそれらのターンを適用する順番を決定するというものです。今回の試遊では、このシステムによってテンポよく進行することがわかりましたが、真価を発揮するのはオンライン マルチプレイヤーでしょう。より高速なグランド ストラテジー体験が実現すると思いますし、今後試すのが楽しみなところです。
各ターンを最大限に活用することは、ワールドマップの迅速かつ効率的な拡張、ゾーンの支配、マップ内資源からのクラフト品の作成をはじめ、あらゆるグランド ストラテジー ゲームの重要な成功要因のひとつとなります。『Ara』では、これらは「発展 (Improvement)」と呼ばれ、農場や作業場、兵舎 (Barracks) といったものです。ワールドマップ上の各ゾーンでは、これらの「発展」を実行できるエリアが限られているため、何に投資するかの選択が重要になります。というのも、これらの選択がゲームの後半でより高度な「発展」につながり、非常に重要な「名声 (Prestige)」ランクを左右するからです (詳細は後述)。
それぞれの「発展」場所からは、ターンごとに一定数の食料、金、木材、資材などの資源が産出され、他より多く獲得できる資源もあります (例: 農場の発展は食料を、伐採キャンプの発展は木材を産出します)。ここで、『Ara』独自のクラフト要素が活躍します。追加の資源を消費してイス、ロープ、バスケットなどのクラフト品を作成し、ワールドマップ上の特定の「発展」の 1 ターンあたりの収穫量を増やせるのです。また、他のプレイヤー (AI または人間) と対戦する場合、誰が最も速く発展できるかが、トップに立つ (またはそれに近付く) ためのカギのひとつとなります。
たとえば、私のセッションでは灌漑農場 (Irrigated Farm) を作りたかったのですが、それには適切な数の資材、木材、(作業場で作れる) 金具 (Metal Tools) を集める必要がありました。クラフトを始めるにあたり必要な金具の数を選択するのですが、なかなかのターン数がかかります。そこで、金具に金と資材を追加資源として付与し、生産速度を向上させました。結果、数ターン後に金具一式が完成し、灌漑農場の発展工事に着手できました。選択肢の豊富さに加え、これらのクラフト品は他のリーダーとの貴重な取引品としても使えるため、どのように使うかの選択によって大きな差が生まれます。
『Ara』では 30 人以上のリーダーが発売時に登場予定で、今後さらに多く発表される予定です。各リーダーは、ゲームプレイの戦略に役立てることができる独自のボーナスを持っており、誰を選ぶにせよ、最初からその長所を活かした戦略を練るのが賢明と言えます。たとえば、ネフェルティティ (エジプト) は「アテンの光線 (Rays of the Aten)」を持っており、農場を河川に隣接して配置すると、ターンごとの食料が +1 されるため、農業に重点を置いた戦略になるでしょう。あるいは、シャカ (ズールー人) が持つ「バッファローの角 (Buffalo Horns)」は、特定の陣形を成している部隊の強さを +25% アップさせるため、直接的な武力による征服を目指す戦略に向いています。
リーダーたちには、宮殿やロードス島の巨像、ギザの大ピラミッドといった建造物を作ることで、名声を大幅に高めることができる短期的な世代 (Act) 目標も与えられています。私はピラミッド建設を目指したのですが、そのためには石器 (Lithic Tools)、ロープ (Rope)、陶器の壺 (Ceramic Pots) を製作する必要がありました。この「世代」目標もまた、プレイヤーにゲームの進め方を指南し、上達を促すように巧みにデザインされています。今回の例で言うと、陶器の壺は石工 (Masonry) の研究後に現れるコンポーネントであり、次のテクノロジー期 (Technology Era) である鉄器時代に進まないと使用できませんでした。そのため、他国に先を越される前に建築的偉業を築くとなると、倍の努力を重ねざるを得ませんでした。
ここで、まだ触れていない『Ara』のゲームプレイにおける最も重要な要素のひとつ、名声 (Prestige) の話に戻ります。『Ara』では、農場の建設、友好な外交、ピラミッドの建造など、プレイヤーが実行するあらゆる行動に一定量の名声が与えられます。とてつもない名声――私がピラミッドを最初に作りたかった理由もおわかりいただけることと思います。
この名声はすべて、4 人のプレイヤーが次の「世代」に進んだときに発生する世代の終了時に集計されます。1 ゲームごとに 3 つの世代があり、各世代には 4 つのテクノロジー期があります。他国と肩を並べられるだけの名声がない場合、2 つめ、3 つめの世代に進む機会は与えられません。名声が最も低い国は存在が消され、ゲームの世界は先へと進んだ国を中心に統合され、それ以外のすべては脱落を求められることになります。勝てる見込みがないことが明らかになった場合、早めにプレイヤーを切り捨てるというのは、グランド ストラテジーゲームとしては斬新な解決策です。厳しい愛情ではありますが、1 ゲームに何日も (あるいは何週間も!) 費やした後で勝てる可能性がないことを知るよりはありがたいと思います。
鳥の群れが行き交い、野生動物が徘徊し、小さな市民がより良い明日を (そして、次の世代に進めることを) を夢見ながら成長する町の中を歩き、日々を暮らす――『Ara』の非常に精細なワールドマップでは、そういったリビングワールドを見ることができます。これらの素晴らしいビジュアルはゲーム性に直接影響を与えるわけではありませんが、ターンの合間に眺めていると、『Ara: History Untold』の美しさを際立たせ、自分の行動が世界にどれだけ影響を与えているかを実感させてくれます。小麦畑、陶器店、木伐採キャンプなどをチェックしながら、資源を稼ぐために賢明に働く彼らに絶えずズームイン、ズームアウトをしている自分がいました。
今回の試遊セッションは比較的短かったのですが、この序盤のラウンドをプレイすることで、『Ara: History Untold』がどのようなグランド ストラテジーゲームになるのか、より明確に知ることができました。本作は、「プレイヤーの時間を尊重する」、そして「膨大な選択肢を与える」という 2 つの主要なテーマに焦点を当て、ストラテジーというジャンルに斬新なアイデアを取り入れることで、革新のチャンスをつかもうとしているようです。
いろいろ試すのが好きな者としては、今回、『Ara: History Untold』がその選択肢を与えてくれたこと、そして私が力不足だったことを教えてくれたことに、とても感謝しています。あの調子で第 2 世代、ましてや第 3 世代まで進めていたら奇跡でした。でも、本作で楽しめる、市民を偉大な統治者へと導くための豊富な手段を、まだ理解し始めたばかりです。次に『Ara: History Untold』をプレイするターンが楽しみです。
『Ara: History Untold』は、2024 年 9 月 25 日に Windows PC と Steam 向けに発売される予定で、Xbox Game Pass Ultimate、PC Game Pass 加入者は発売初日からお楽しみいただけます。
※本文中の固有名詞は開発中のものであり、その日本語訳も仮称です。
※この記事は米国時間 2024 年 8 月 22 日に公開された “How Ara: History Untold Rewrites the Age-Old Rules of Strategy” を基にしています。