『Castlevania Dominus Collection』で KONAMI はいかにして名作タイトルを Xbox で再現したのか

Castlevania Dominus Collection』が Xbox Series X|S で発売されました。このコレクションは、元々ニンテンドー DS 向けに制作された「悪魔城ドラキュラ』シリーズの『悪魔城ドラキュラ 蒼月の十字架』、『悪魔城ドラキュラ ギャラリー オブ ラビリンス』、『悪魔城ドラキュラ 奪われた刻印』の3作品と、アーケード版『悪魔城ドラキュラ』およびアーケード版アレンジの『悪魔城ドラキュラ Revisited』が収録されています。これらに加えて、巻き戻しやいつでもセーブ/ロードなどの便利な機能、制作時の未公開アートが楽しめるギャラリー機能など、まさにシリーズの神髄を味わえる 1 作となっています。

そんな名作の復活に関して、『Castlevania Dominus Collection』のプロデューサーである谷口勲氏に話を伺いました。『悪魔城ドラキュラ』シリーズに再び携われた興奮から、20 年近く前のメカニズムを現代のゲーム機に適応させたこと、開発者たちが『悪魔城ドラキュラ』ファンのためにシリーズが遺してきたものを尊重しつつ、新規プレイヤーに興味を持ってもらうためにしたことなど、様々なことをお聞きしました。

この『Castlevania Dominus Collection』に向けてニンテンドー DS 版『悪魔城ドラキュラ』シリーズ 3 作をプレイされたと思うのですが、今改めてこれらを遊んでみて、どのような感想を持ちましたか?

本作に収録されているオリジナル版のほとんどが 3 インチの液晶画面でプレイされる作品だったので、今これらのゲームを見ると、以前は見逃していたかもしれない細部へのこだわりがよくわかります。背景のディテールやキャラクターのアニメーションなど、とても丁寧に作り込まれています。

どのタイトルもサウンドトラックが素晴らしいので、音楽が流れ始めたときに初めてニンテンドー DS でプレイしたときの楽しさが蘇ってきました。

― 収録されているゲームのほとんどはニンテンドー DS 向けタイトルなので、一般的なテレビでプレイする状況とはまったく異なるフォーマットです。これをどのようにアレンジしたのでしょうか?

ニンテンドー DS はアスペクト比 4 : 3 の 3 インチ液晶画面が 2 つあり、昨今のテレビ画面とは画素数 (解像度) に大きな差があります。そこで、現在の 16 : 9 のフルHD ディスプレイに合わせるために、5 種類の画面設定を用意しました。ユーザーの皆さんは自分に最適なレイアウトを見つけていただければ幸いです。

おすすめは、メインのゲーム画面を拡大表示し、ステータス画面とマップ画面を小さく表示している画面設定です。このレイアウトなら、オリジナル版では不可能だった 3 つの異なる画面を同時に見ることができます。マップ画面とステータス画面の両方を開いたままプレイすることが可能で、ゲーム全体をより快適に遊ぶことができます。

もちろん、オリジナル版と同じ体験を再現したい人のために、2 画面のレイアウトも用意しています。また、ディスプレイの解像度がオリジナルのピクセル解像度と異なる場合のために、最適な拡大表示 (ドット バイ ドット) に特化した画面モードもあります。

― このようなコレクション タイトルを実現するうえで、開発者として最もエキサイティングでやりがいのあるのはどのあたりでしょうか?

まず、このシリーズに関われることが光栄なことです。『悪魔城ドラキュラ』を作る一員になれてとても興奮しています。現行機で発売されていないタイトルを再びプレイヤーに届けることができるというのも、大きな原動力になりました。このコレクションによって、『悪魔城ドラキュラ』の面白さをもう一度体験していただけるので、とてもやり甲斐がありました。

ネット上では「ニンテンドー DS でリリースされた 3 作品を現行機でプレイしたい!」という声をよく見かけました。それを読むたびに開発できてよかったとつくづく思いましたし、一刻も早くこのコレクションをお届けしたいという気持ちになりました。プレイヤーの皆さんがこれらニンテンドー DS タイトルに興味を持ってくださっていることがわかり、本当に感謝しています。

これらのタイトルに思い出をお持ちのプレイヤーの皆さん、このコレクションが『悪魔城ドラキュラ』を楽しんだ時間を思い出す一助となれば幸いです。また、初めて『悪魔城ドラキュラ』をプレイされる方にも、この機会にぜひ楽しんでいただければと思います。

― なぜ今、これらのタイトルを復活させようと思ったのでしょうか?

2019 年ごろ、ネット上で「探索型アクション ゲームが大好きだけど、『悪魔城ドラキュラ』シリーズは遊んだことがない」という声を見かけるようになりました。それがきっかけとなり、現行機で『悪魔城ドラキュラ』シリーズを再び遊べるようにして、多くの人に知ってもらいたいと考えるようになりました。

2019 年だと現行機で遊べる「探索アクション」スタイルの『悪魔城ドラキュラ』シリーズの移植版がなかったため、中古市場に出回っているオリジナル版はどれも高額で取引されており、遊びたいと思ってもそう簡単に手を出せない状況でした。

探検アクションの『悪魔城ドラキュラ』はいくつかあるので、どの順番で現行機に移植するべきかチームでも迷いました。最終的には発売された順で移植をしていくことを決めて、まずはゲームボーイアドバンス版タイトルをまとめた『Castlevania Advance Collection』を 2021 年に発売しました。これは想像以上に反響があり、とても驚きました。

最初からそのような考えだったので、すぐに「次に作るとしたらニンテンドー DS の 3 タイトルだ!」という合意を得ることができました。

― このコレクションを通じて、初めて『悪魔城ドラキュラ』をプレイする人にシリーズのどんなところを知ってほしいですか? また、どの部分が新規プレイヤーを驚かせると思いますか?

まず、シリーズ ファンの皆様には、このコレクションを通じて『悪魔城ドラキュラ』を改めて体験していただき、かつて楽しんだあの瞬間を思い出していただければと思います。また、コンセプトやデザイン資料が閲覧できる「ギャラリー」や、新たに追加された「図鑑」、プレイリストが作成できる「ミュージック」モードなど、より深く『悪魔城ドラキュラ』の世界に入り込めるような内容になっています。ぜひ、これらの追加コンテンツを楽しんでください!

そしてシリーズをプレイしたことがない皆様は、これをきっかけに『悪魔城ドラキュラ』を知っていただければと思います。ボーナス タイトルとして、アーケード版をリメイクした『悪魔城ドラキュラ Haunted Castle Revisited』を収録しました。ぜひお楽しみください!

― 『Castlevania Dominus Collection』に収録されたタイトルのうち、新規プレイヤーはどの順番でプレイすればよろしいでしょうか?

開発チーム内でも、どれを最初にプレイすることをおすすめしたらいいのか、意見がまとまりませんでしたので、どの順番で遊んでいただいても楽しんでいただけると思います。強いていえば、リリース順が最適かもしれません。

― ニンテンドー DS 版の 3 本だけでなく、アーケード版をリメイクしたものも制作されました。なぜアーケード版のリメイクを入れたのか、どのような改良を加えたのか、詳しく教えてください。

ボーナス タイトルについては、M2 (本作の共同開発スタジオ) と一緒にどのようなものを収録するかを検討しました。どのタイトルを入れるべきかの判断はとても難しく、決定するまで何度も話し合いました。私の中では、ボーナス タイトルはニンテンドー DS の 3 タイトルとは違う、ステージ クリア型のアクション ゲームにしようと早い段階から決めていました。なので、現行機に移植されていないタイトルのリマスターか、過去作のちょっとしたリメイクのどちらかにしようと考えていたのです。

すべての選択肢を検討し、タイトルを絞り込んで移植かリメイクかとなったのですが、どうもしっくりきませんでした。そんなとき M2 のディレクターから「高難易度だったアーケード版を、現行機向けに作り直すというのはどうでしょう?」と提案があったのです。私たちは「なるほど!」となり、そこからはスムーズに進行しました。

オリジナル版のピクセル ドットな雰囲気を取り込みつつ、美しいグラフィックに仕上げることができ、皆様が楽しんでもらえるゲーム デザインに仕上がったと思います。

このゲームが多くの人にプレイされ、楽しんでもらえることを心から願っています。当初は小規模なリメイクのつもりだったが、気がつけば本格的なリメイクになっていました。これもひとえに M2 のこだわりと職人技のおかげです。

※この記事は米国時間 9 月 18 日 に公開された“Castlevania Dominus Collection: How Konami Recreated DS and Arcade Games for Xbox”を基にしています。