『ウィッチャーIV』: シリが紡ぐ新たな世界

先週、CD PROJEKT RED の大人気ダーク ファンタジー シリーズ最新作、『ウィッチャーIV』のシネマティック トレーラーが「The Game Awards 2024」で公開されました。この「ウィッチャー」シリーズの新たな章ではゲラルトに代わり、彼の養女であるシリが主人公として登場します。

発表を受け、Xbox Wire 編集部は CD PROJEKT RED の主要メンバーから、トレーラーに込められた意図や、シリを「ウィッチャー」シリーズの新たな主人公として迎えること、そしてこれまでのシリーズの歴史やプレイヤーの選択を尊重しつつ、シリーズを新たな時代へと大胆に進めていく意気込みを詳しく伺いました。

新たなシリ

初公開されたトレーラーでは、大陸北方の辺境にある孤立した村「ストロムフォード (Stromford) 」が舞台となっています。映像の中では、若い女性である「マイオニ (Mioni) 」が村の近くに住まう怪物を鎮めるための生贄として選ばれます。生贄のための支度が行われるさなか、あの象徴的な鋼と銀の剣と共に、成長し、より強くなったシリが初めて登場します。

本作のナラティブ ディレクターを務めるフィリップ ウェーバー (Philipp Weber) 氏によると、『ウィッチャーIV』は『ウィッチャー3 ワイルドハント』の「数年後」に時間軸が設定されていますが、シリがストロムフォードへとたどり着いた経緯はまだ明かされていません。わかるのは、シリの目が変異しており、彼女が「草の試練」を乗り越え、自らもウィッチャーとなったことが示唆されている点でしょうか。

『ウィッチャー3 ワイルドハント』や「ウィッチャー」シリーズの原作者であるアンドレイ サプコフスキ氏の著書において、シリは準主人公として描かれており、その性格は細部に至るまで確立されています。その点から、彼女は単にゲラルトの物語に広がりを持たせる存在ではなく、自ら新たな旅へと出るにふさわしい、独立したキャラクターといえるでしょう。

しかしながら、シリの旅はプレイヤーの皆さんが『ウィッチャー3』でどのような結末を選択したかによって異なる可能性があります。CD PROJEKT RED は詳細を伏せつつも、ウェーバー氏は『ウィッチャーIV』が前作で複数あるエンディング結果をしっかりと反映できるようにし、プレイヤーの選択を尊重することを約束しています。

ゲラルトとシリの違い

CD PROJEKT RED は、ゲラルトが熟練のウィッチャーとして中立を貫くことを好むのに対し、シリは個人的な動機に突き動かされ、より積極的な立場を取る傾向をもつキャラクターであることを強調するそうです。

「ゲラルトは自身の行動規範を確立しており、そのような状態に至るまでに多くの経験を積んできました」とウェーバー氏は説明します。「一方シリの場合、彼女がどのように難しい局面を切り抜け、経験を積み、自身の行動規範を見出ししていくのかに着目することができます」

初公開されたトレーラーの映像には、シリが森に足を踏み入れ、生贄として選ばれたマイオニに村へと逃げ、生き延びるようにと指示するシーンが描かれています。また、辺境の村であるストロムフォードの人々は、善意で介入したシリを歓迎せず、ウィッチャーの存在に否定的な反応を示します。

「この村での出来事に、シリは情熱を燃やし、固い決意をもってマイオニを救おうとしています」とゲーム ディレクターのセバスチャン カレンバ (Sebastian Kalemba) 氏は解説します。「彼女は一瞬たりとも迷うことなく、マイオニを深く気にかけた行動をとっています」

しかし残念ながら、今回新登場した怪物「バウク (Bauk) 」がシリの善意によって撃退されたにも関わらず、マイオニは悲劇的な最期を迎えてしまいます。このシーンは依然として理不尽な『ウィッチャーIV』の世界観、そしてプレイヤーやこの世界の人々が善意に基づいた行動をしていたとしても、悪意をもって受け取られる可能性があることを示唆しています。

「シリは運命に抗う存在です。ただ漫然と運命を受け入れるのではなく、戦い続けることが求められ、多くの場合はそれが正しい選択となるのです」とウェーバー氏は語ります。「今回のトレーラーは、かつてのシリもマイオニと同じ運命をたどる可能性があったにも関わらず、彼女が運命に抗い続けてきたことを際立たせる内容となっています」

シリの複雑なキャラクター性は彼女の過去に深く根差しており、それがこの暗く、理不尽なウィッチャーの世界で、選択と結果を巡る成熟した物語を描くうえで重要な要素を担っています。

「シリは決して完璧なキャラクターではありません。彼女には多くの闇があり、捨てられた過去や、過去に犯したひどい過ちなも背負っています」とウェーバー氏は言います。「同時に、彼女は驚くべき強さも持っています。この絶妙なバランスこそが、彼女を素晴らしいキャラクターへと形作っています。リアルな感情を持つキャラクターを描くためには、その欠点も描かれなければなりません」

また、共にいる時間でゲラルトがシリに与えた影響が軽視されることはありません。『ウィッチャーIV』が選択と結果を重要視するということは、シリとゲラルトが同じような状況に直面した時、「ゲラルトならこうしていたかもしれない」という行動とは違う決断をシリがすることもあるということです。そして、その選択の違いにシリ自身も葛藤するでしょう。

「彼女はゲラルトの娘ですから、彼から多くの価値観を学んできているのです」とウェーバー氏は述べます。「シリが取る選択が、ゲラルトが取りそうなものに近い場合もあるでしょう」

カレンバ氏は続けます。「同様に、『ウィッチャー3』での旅を通じて、ゲラルトもまたシリから多くを学んでおり、その影響が彼の選択からも感じ取れるでしょう」

未来を見据えて

『ウィッチャーIV』はこれまでのシリーズから逸脱することなく進化を遂げた最新作となるでしょう。長年のファンの皆さんは、シリと共に新たな物語を歩む中で、ウィッチャー世界のさらなる設定や物語背景が掘り下げられることをご期待ください。CD PROJEKT RED は、本作にゲラルトも登場すると明言していますが、物語の中における彼の役割はまだ秘密です。

加えて、本作はシリーズの新たな出発点ともいえます。『ウィッチャー3』の発売から約 10 年が経ち、CD PROJEKT RED も開発経験を積み重ねました。また新たな世代のプレイヤーたちが、『ウィッチャーIV』でウィッチャーの世界を初めて体験するであろうことを彼らも想定しています。

「新たな主人公、そして”プレイアブル キャラクターとしてのシリ”のオリジン ストーリーとなる『ウィッチャーIV』は、新規プレイヤーにとって素晴らしい出発点になると信じています。そして、新しい地域や探索エリアも登場しますが、本シリーズのファンが愛してやまない、しっかりとしたダークファンタジーの世界と物語をお届けします」とカレンバ氏は語りました。

※この記事は米国日時 12 月 18 日に公開された “The Witcher IV: Bringing Ciri into A World of Her Own” を基にしてます。