『Clair Obscur: Expedition 33』: 古典 RPG にインスパイアされ、自らも古典に

昨年 6 月の「Xbox Games Showcase」で初めて『Clair Obscur: Expedition 33』が紹介された瞬間から、この作品が特別なものであることは明らかでした。それ以降、この素晴らしいビジュアルを持つタイトルでデビューを果たす Sandfall Interactive が本作の一端を見せるたびに、RPG ファンの期待は高まってきました。

本日の「Developer_Direct」では、フランスはモンペリエに向かい、ここ数年で最も期待されている新作 RPG を手がける開発チームに直接会い、これまで以上に詳細な情報を得ることができました。驚くほど小規模な Sandfall Interactive のチームは、フランスのかつては領主の大邸宅だった屋敷で開発を行っており、『Clair Obscur: Expedition 33』の感動的な物語性、独創的な世界構築、そしてジャンルの定番をさらに発展させたゲームプレイ体験における革新など、この精巧なRPGを包むミルフィーユのような神秘性を一層ずつ、詳細に解説してくれました。さらには、4 月 24 日というリリース日が発表されました。今すぐ予約注文、または Game Pass での初日からのプレイに備えましょう !

最近、『Expedition 33』のチーム メンバー数人にインタビューを実施、間もなく配信される「Official Xbox Podcast」にも出演いただきました。その際、今回の「Developer_Direct」で明かされた内容について、さらに詳しく話してもらうことができました。

初公開の時点から、『Expedition 33』のターン制バトルの奥深さは圧倒的であり、リアルタイム要素 (回避やパリィ)、プレイヤーの選択できる多彩なアクション、そしてそれらを表現するスタイリッシュなビジュアルが印象的でした。しかし、見た目だけではなく、ゲームとしての体験にも深みを持たせたいという開発陣の意図は、インタビューの最中から明らかに感じました。

「ただの “見た目が美しいだけのゲーム” にはしたくありませんでした」と、CEO 兼クリエイティブ ディレクターのギヨーム ブロッシュ (Guillaume Broche) 氏は語ります。「まさに本物のゲームだと感じられるようなものにしたかったんです。各キャラクターは独自のプレイスタイルを持っており、それぞれ実に多様な方法で操作できるようになっています。キャラクターごとに特別にデザインされた異なる手ざわりや固有のメカニクス、そして独自のスキル ツリーがあります」

例えば、キャラクターである「ルーン (Lune)」は、スキルを発動するたびに「ステイン (Stain)」を最大 4 つまで生成します。生成されたステインは戦闘中に消費されることで、彼女の能力をさまざまな方法で強化できます。こうした独自のメカニクスをプレイスタイルに合わせて組み合わせるのが本作の醍醐味です。他のキャラクターもそれぞれ独自のメカニクスを備えており、「ギュスターヴ (Gustave)」の「オーバーチャージアーム (Overcharged Arm)」や、「シエル (Sciel)」の操る、太陽と月を媒介にした「予兆 (Foretell)」チャージなど、選択肢は多岐にわたります。

また、「Developer_Direct」では、キャラクターとプレイスタイルの深いカスタマイズ性についても説明がありました。戦闘前に設定できる「ピクトス (Pictos)」という装備に結び付いた修飾子が4回の戦闘を経て「ルミナ (Lumina)」というパッシブ能力へと進化します。
「このシステムの素晴らしいところは、ゲームを進めていく中で装備を頻繁に変え、どんどん多くのルミナを獲得していけることです。ゲーム終盤には、全てのパッシブをリストで管理し、オンオフを自在に切り替えられるようになります。これにより、クレイジーなビルドが可能になります」とブロッシュ氏は説明します。「これでプレイヤーがゲームを “壊せる” ことを私たちは期待しています。むしろ、壊して楽しめるように作ってあるため、ぜひチャレンジしてほしいです」

戦略的なオプションが豊富に用意されてある一方で、ターン制バトル システムに組み込まれたリアルタイム要素も、公開されたゲームプレイ映像の中では際立っています。これらの要素はゲームプレイの重要な部分であり、頭脳と反射神経の両方を求める体験を楽しみたいプレイヤーには魅力的でしょう。しかし、ブロッシュ氏は「すべてをパリィする必要はない」と語り、プレイヤーが自由に選べる難易度設定についても言及しています。

「もちろん、全てをパリィする必要はありません。それでは難しすぎますから。ゲームには難易度オプションがあり、それによってパリィや回避のタイミングの猶予が広がったり狭まったりします。ハード モードでは、攻撃の 50% 以上を回避できないと苦労するでしょう。一方で、ノーマル モードではそれより少し緩和され、イージー モードではキャラクターの育成が適切であれば回避が上手く出来なくてもしっかりとクリアできるでしょう」

こうした戦略的な深みは、ダイナミックなカメラワークや、フランスのベル エポック時代のアールデコ様式にインスパイアされた『Expedition 33』の世界の美しさを通じて見事に表現されています。アート ディレクターのニコラス マクソン=フランコム (Nicholas Maxson-Francombe) 氏は、生涯ゲームをプレイしてきた中で見飽きてしまったものは避けたかったと述べています。

「何度も見てきたようなもの、例えば SF や宇宙、ゾンビといったものから一旦離れたかったんです。自分自身にとってオリジナルだと思えるものを作りたかったんです」とフランコム氏。
「私が主に研究していたのはセラミックの質感で、見てきた物の中に、非常に独創的な形状の品が数点ありました。それらの形状が、『Expedition 33』で見られる敵のデザインのインスピレーションになっています。また、環境デザインにも役立ちました。さらには絵画のような雰囲気とセラミックを組み合わせ、クレイジーな色彩を散りばめました。こうした試みに素晴らしいストーリーが合わさってくれているのは大きな助けになっています !」

こうしたインスピレーションは、「Developer_Direct」で明かされたナビゲーション可能なワールド マップにも結実しています。これは、過去の JRPG に触発され、現代的にアレンジされたもので、ブロッシュ氏が開発初期から構想していたものです。

「このプロジェクトを Unreal Engine で始めたその日から、ワールド マップを作りたかったんです。これは、今ではゲーム業界からほぼ姿を消してしまったようなクールな要素だと思っています。私にとって、古き良き JRPG のユニークさを構成していた重要な要素の一つなんです。冒険感を与えてくれるものであり、プレイヤーが壮大な旅をしていると感じられるようにしたかったんです」

このワールド マップの存在が『Expedition 33』の世界の大きさ、そして規模を明確に伝えてくれます。ブロッシュ氏も、「最初はとてつもなく広大に感じるでしょう。実際、非常に広いんです。発見できる地点がたくさんあり、ワールド マップには隠しボスもたくさん潜んでいます。秘密が沢山散りばめられていること……こうした要素がワールド マップを非常にクールなものにしており、探索ゲームとしてまったく異なる感覚を与えてくれます。どれほど旅をしているのかを実感させてくれます」と解説に熱が入ります。

ここまでに見たものだけでも圧巻ですが、『Expedition 33』には未だ明かされていない要素があるようです。キャンプ システムや、商人と戦って品揃えを増やすメカニクスなどが用意されており、Sandfall Interactive のように比較的小規模なチームにとって本作は非常に野心的なプロジェクトであると同時に、チームが新たな情報を明らかにするたびに、その完成度に感動させられている筆者がいました。『Expedition 33』はこれまでの RPG という巨人の肩に立ちながらも、自身も RPG としての指標足りうる作品になりそうです。

『Clair Obscur: Expedition 33』については、まだまだお伝えしなければならないことがたくさんあります。次回の「Official Xbox Podcast」では、Sandfall Interactive のチームがゲーム開発の舞台裏や新しいゲームプレイ映像についてさらなる詳細をお届けします。Xbox Wire や YouTube、公式ポッドキャストの配信をお見逃しなく !

※この記事は米国日時 1 月 23 日に公開された “Inspired by RPG Classics, Clair Obscur: Expedition 33 May Become One Itself” を基にしています。