概要
- 『Kingdom Come: Deliverance II』をプレイして、骨に覆われた礼拝堂や自然の驚異を体験しましょう。
- Warhorse Studios が歴史的な記録をどのように活用し、本物さながらの 15 世紀ボヘミアを構築したのかを学びましょう。
- 『Kingdom Come: Deliverance II』は、Xbox Series X|S で好評発売中です (2月5日発売)。
『Kingdom Come: Deliverance II』で 15 世紀のボヘミアを忠実に再現するという作業は、慎重な時代考証に加え、敬意ある芸術的解釈の双方が求められます。どのように再現したのかを詳しく知るため、シニア ゲーム デザイナーのオンドジェイ ビットナー (Ondřej Bittner) 氏に話を伺い、Warhorse Studios のチームが『Kingdom Come: Deliverance II』において、いかにして本物のような没入感のある世界を作り上げたのか、その方法を詳しく聞きました。
ビットナー氏によると、丘陵や谷、河川の形成に関しては、この時代から変化がないため、チームはまず地理データから開発の作業に着手したそうです。
「19 世紀半ばに作成された軍事地図があり、そこには当時の村の配置が描かれています」とビットナー氏は付け加えます。「これはヨーロッパの軍事史ではよくあることですが、数十万の兵士からなる軍隊を編成する場合、個々の建物や補給地点、道路などを正確に表した精度の高い地図が必要となるのです」

15 世紀ボヘミアの地形、集落、建築様式が確定すると、チームは現代まで残っている建物に関して、その管理人や詳しい学芸員に話を伺いました。
「これらの城や教会の管理をする方々に話を聞いて、特定の建物に関する資料があるかどうかを確認しています」とビットナー氏は言います。「資料が現存する場合もありますし、ないこともあります。もし資料がなければ、その時代に関する一般的な資料から、その建物を復元する必要がありました」

この時代考証の作業には、他よりも取り組みが難しい側面もあります。その一例が、かつてはクテンベルク中心街の広場にあったとされ、歴史のうねりの中で失われてしまった時計塔でした。
「そこに時計塔があったことは分かっていますが、焼失してしまったのです」と、この失われた建造物の調査についてビットナー氏は詳しく説明してくれました。「16 世紀の木版画を見ると、丘から見た街の様子が分かりますが、通常は詳細な描写はありません。当時の時計塔がどのような外観であったかを調査、研究し、その姿を復元しなければなりませんでした」
幸いにも、この時代に建てられた素晴らしい建築物のいくつかは、そのままの姿で現代まで残っているものがあります。例えば、4 万人以上の人骨で装飾された礼拝堂であるセドレツ納骨堂では、現在も残っている建物のひとつです。
このような建物は、観光客やゲーム ファンの目を引くだけの存在ではなく、中世の人々の暮らしぶりを理解するうえでとても重要な存在です。当時、死に対する考え方は今よりも不気味な方向へと傾いており、それが芸術や建築に多大な影響を与えていました。

中世ヨーロッパの自然環境は、様々な状況を演出できる場所でもあります。続編となる本作のストーリーの中心となるトロスキ城の近くには、アポレナ岩があるのですが、このタイプの岩層はチェコ共和国全域でよく見られ、その迷路のような表面模様は地元でさまざまな伝説と関連付けられています。
「ボヘミアの風景は、15世紀であってもとても魅力的です」とビットナー氏は言います。「多くの場所は穏やかですが、特にこの地域は危険を感じさせ、まるで悪い人々が隠れているかのように感じられるでしょう。その特別な印象は音楽のデザインやあらゆるものにも反映されています」
過去 500 年間で地形はそれほど変化していませんが、自然環境に対する文明の影響は顕著に感じられます。半世紀前でさえ、人間は森林伐採を目的として森林を植林し、その過程で多くの自然の樹木や低木の群生を置き換えてきました。
「明確に定義された森林が必要になる場合もあるため、そうした意図から生み出されたエリアもあります」とビットナー氏は説明します。「生物多様性や今も残るさまざまな植物や花に関する研究に基づいて、当時に則した自然な森林を作成しています。こうした自然環境は今も変わっていないことが殆どでしょう」
中世の歴史がボヘミアの景観に与えた影響の多くは、現代においては地中に埋もれてしまっています。Warhorse Studios は 15 世紀の生活を忠実に再現しようとする中で、中世ヨーロッパのゴミ捨て場であった遺跡に情報の宝庫を発見しました。

「ゴミ箱の中を調べれば、当時の人類とその文明について多くのことが学べます」とビットナー氏は言います。「ゆえに、当社の研究チームはゴミ捨て場に赴き、当時の人々が捨てたものを調査しました。 陶器の破片がたくさん落ちている場所では、陶器が一般的だったと考えられます。衣類の素材からも、当時の人々について多くのことが分かります」
「これは詳しく申し上げにくいことで詳細には触れませんが、“種子”は消化されないので、考古学において重要な調査対象なのです」
Warhorse Studios は、入念な調査と、遥かな歴史の中の特徴的な時代における物語を生み出す情熱を組み合わせることで、RPG において他に類を見ないほど本格的で没入感のある世界を作り上げました。 2 月 5 日に Xbox Series X|S に向けて発売された『Kingdom Come: Deliverance II』で、ぜひご自身でこの世界を体験してみてください。
※この記事は米国時間 2 月 4 日 に公開された“Building an Authentic Bohemia in Kingdom Come: Deliverance II”を基にしています。