『ユミアのアトリエ~追憶の錬金術士と幻創の地~』新要素解説: 『Halo』との意外な接点も

「アトリエ」シリーズは 90 年後半から現在に至るまで、実に 20 作以上が発売されてきましたが、Xbox に向けて発売するのは『ユミアのアトリエ ~追憶の錬金術士と幻創の地~』が初めてです。今回、Xbox Wire 編集部では本作の序盤数時間ほどをプレイする機会、さらにはプロデューサーを務める株式会社コーエーテクモゲームス ガストブランド長の細井順三氏にお話を伺う機会が得られました。この取材を通し、『ユミアのアトリエ』は Xbox 初の「アトリエ」シリーズ タイトルとなるだけではなく、これまでで最も野心的に仕上がりつつあることが判明しました。

「大のファンなので、『アトリエ』シリーズのタイトルを Xbox で発売できることを嬉しく思います」と細井氏はメールの文中で語ります。「しかし実のところ、『ユミアのアトリエ』を俯瞰して見たとき、私は本作を次なる『アトリエ』タイトルではなく、シリーズの特徴を併せ持った全く新しい JRPG シリーズとして認識しています」

氏の言葉は、筆者の体験したプレビュー セッションの中でも如実に表れていました。プレイヤーは戦略的なリアルタイム バトル、クラフト、探索などの馴染みある RPG 要素が織り交ぜられた世界に降り立ちますが、これらの要素は他のゲームとは全く異なる方法で組み合わされているように感じたのです。際立たせているのは、非常に奥深いクラフト システムでした。

「『アトリエ』シリーズの魅力はまず、調合、そして錬金術のプロセスにあります」と細井氏は言います。「フィールドでのアイテム収集、戦闘、そして調合というゲーム サイクルが、お互いに密接に関わり合っている点も独特です」

本作の魅力を体現する要素として、過去の「アトリエ」シリーズよりも大人びた主人公であるユミア・リースフェルトをはじめとしたプレイ可能なキャラクターのキャストも挙げられるでしょう。

「ユミアは 21 歳と、大人への過渡期にいます。彼女が大人となるまでの過程が、物語の中で描かれていくことになります」と細井氏は詳しい背景を説明してくれます。「彼女の強い核となるのは、持ち合わせている独立心と求心力です。過去作品の主人公であるライザやソフィーはその若さゆえに、成長を促すためにはメンターが必要でしたが、ユミアは既に自身のアイデンティティと意志を持っているのです。」

物語の舞台となり、新登場の大陸「アラディス」では錬金術が本質的に信用されていないため、ゲームの序盤におけるユミアは自身の価値を証明すべく、奮闘することになります。彼女の持つ調合スキル、さらには刷新された建築システムは作中に登場するキャラクターたちと差別化される点ですが、筆者の得た体験において特筆すべきは戦闘における高い能力でした。

ほぼすべての「アトリエ」シリーズ作品が採用してきたターン制バトルですが、近年は『ライザのアトリエ 〜常闇の女王と秘密の隠れ家〜』をはじめ、リアルタイム バトルが採用されています。『ユミアのアトリエ』ではこれまでのプレイヤーのフィードバックを反映し、膨大な選択肢が用意された戦闘システムが組み込まれています。

「本作では戦闘システムをいちから設計しなおし、近距離攻撃と遠距離攻撃の二種類の攻撃距離、『レンジ』を用意しています」と細井氏は説明します。「プレイヤーは操作キャラクターを自由に動かし、敵の周囲や攻撃レンジ間を移動できます。リアルタイムでのガードや回避も可能となり、敵をスタンさせた際には、強力な連携攻撃である『フレンド アクション』を発動できます。『ユミアのアトリエ』において、私たちはプレイヤー自身の実力が戦闘にしっかりと反映されることを大切にしています」

実際の戦闘はスピーディーに展開され、プレイヤーは操作対象をユミアだけではなく、彼女の仲間たちへと自由に切り替えることができます。バトル中の立ち位置は特に重要で、攻撃の範囲や発生までの時間は可視化されているものの、精密なガードを決めたり、素早く回避するにはシビアなタイミング合わせが必要です。通常の敵との一対一であればそれほど困難ではありませんが、多数の敵が迫り来る戦いでは、限られた安全地帯の中での、より戦略的な判断が求められます。

そのうえで、敵ごとの弱点を突いた攻撃や「フレンド アクション」による強力な攻撃、異なる攻撃レンジでの攻防バランスなど、可愛らしいビジュアルからは想像もつかないほどの戦略性、そして適切な状況認識に対する報酬が『ユミアのアトリエ』のバトルには練り込まれています。もちろん、戦闘への出入りはシームレスに行われるため、経験値稼ぎに戦いへと赴くことも楽しく、さらに街へと戻りたいときは意識的に戦いを避けて移動することも可能です。

また、ユミアの旅は、彼女一人だけのものではありません。ゲームのプロローグでは何人かの仲間と出会い、その後の物語は一旦過去の出来事へと巻き戻る形で進行しますが、その中でも特に印象に残った、ユミアの周りを浮遊しながら旅の補佐を務める超高性能自立型探索補助装置「フラミィ」について尋ねたところ、細井氏からは意外な答えが返ってきました。

「実は、フラミィは『Halo』シリーズのコルタナにインスパイアされているんです。主人公と常に一緒にいる親しいキャラクターとして、いつでも会話できるような存在を作りたかったんです」と細井氏。「『Halo』が凄く楽しかったので、本作にもマスコット的な存在を迎えたいと考えたのがフラミィ誕生のきっかけでした」

ユミアのアトリエ ~追憶の錬金術士と幻創の地』は、『真・三國無双 ORIGINS』の好評、そして Team NINJA による「NINJA GAIDEN」シリーズ最新作『NINJA GAIDEN 4』の発表、さらには『NINJA GAIDEN 2 BLACK』と『無双アビス』といった即日プレイ可能タイトルの発表といった、株式会社コーエーテクモゲームスによって贈り出される多くのタイトルがプレイヤーたちを賑わせているさなかでの発売となります。細井氏によると、こうしたポジティブな流れは他プロジェクトにも良い影響を与えているようです。

「コーエーテクモゲームスの各ブランド長はお互いに非常に良い関係を築いています。開発中のゲームについて意見を交換する場が設けられており、お互いの作品を実際に見て、フィードバックを出し合っています。そうした場で出てくる意見を取り入れることで、より良いゲームを作り上げることができるのです。お互いに良い刺激を与え続けることこそ、『ユミアのアトリエ』をシリーズ最高傑作として世界へと送り出すという目標に近づくためのカギとなっています」と細井氏は締めくくりました。

※この記事は米国日時 2 月 21 日に公開された “Atelier Yumia: New Features Explained – and a Surprise Connection to Halo” を基にしています。