概要
- リマスター版『鬼武者2』のプレビューレポート&インタビューをお届けします。
- オリジナル版およびリマスター版ディレクターの江城元秀氏とプロデューサーの田中浩介氏に、このリマスター版についてお話をうかがいました。
- 『鬼武者2』は、2025 年 5 月 23 日に Xbox One および Xbox Series X|S 向けに発売されます。Xbox 版は Microsoft Store にて、プレオーダー受付中です。
Xbox でリマスター版『鬼武者2』を 2 時間ほどプレイし、幻魔退治の剣戟アクションとスペクタクルを楽しんだレポートをお届けします。私が最も評価しているのは原作に忠実なリマスターである点です。ファンに愛されるオリジナル版の要素を全て残しつつ、サバイバル ホラーとしての魅力を一切失っていない点にとても感心しました。
リマスター版『鬼武者2』では、再び主人公である「柳生十兵衛」となり、幻魔と結託した戦国大名の織田信長と彼の幻魔軍団と戦うことになります。十兵衛は、小谷のお邑、安国寺恵瓊、雑賀孫市、風魔小太郎らの仲間と共に、オリジナル版より高解像度になったグラフィックで新たな冒険が始まります。シリーズ初心者向けでも楽しめるようなさまざまな遊びやすさ改善機能が搭載され、細部にわたるこだわりが行き届いているため、オリジナルファンもストレスなく懐かしい作品を堪能できます。

「本作の特徴的なビジュアルスタイルを維持しつつ、現世代の環境に合わせて解像度を向上し、フレームレート 60 FPS のスムーズな描画を行うことで、剣戟アクションの手触りがこれまで以上に滑らかになりました」とディレクターの江城氏は語ります。「また、テレビ画面のワイドスクリーン化に合わせて、ゲームの出力もワイド ディスプレイに対応するように改良されました。これにより、アクションシーンで画像がズームインされる時の没入感とエキサイティングさがさらに高まったと思います」
この点は筆者も特に強く感じました。剣戟アクションは極めてレスポンスが良く、とても効果的に攻撃や防御ができるようになり、戦闘は臨場感に溢れています。特に、寺院の廊下での戦闘で幻魔の一群を切り払いながら、敵の魂を吸収して経験値を獲得するために、強力なカウンター攻撃である「一閃」を狙う時など、リマスター版でのプレイしやすさを際立って感じられます。
「2025 年にこのリマスター版をプレイする新規プレイヤーは、2002 年にプレイした人と同じ興奮を感じられるはずです」と江城氏は付け加えます。「今作では、ゲームのコアとなる特徴と魅力を維持しつつ、特定の要素を現代のプレイヤーが求める基準に合わせています。オリジナル版のゲーム アセットを確認しましたが、正直なところ 2002 年当時でもオリジナル チームは非常に高品質なアセットを制作していました。むしろ、当時の標準的なブラウン管ディスプレイは、アセットが持つ本来の品質を十分に引き出せていなかったと思います。リマスター版では、さまざまなアップスケーリングとアップレッジング (高解像度化) の最新技術を駆使して、アセットのディテールを最新の HD ディスプレイで最大限に引き出せるようにしました。これには背景動画も含まれており、流れる川などのエリアはこれまで以上に美しく見えるようになっています」

変更された要素のひとつは、十兵衛を鬼武者に変身させるタイミングを選択できるようになった点です。鬼武者になると、一定時間無敵となって攻撃力が上昇します。以前は、倒した敵から放出される魂のうち、一定数のレアな紫魂を集めると自動的に発動していましたが、リマスター版はそのタイミングを任意に選べます。これは非常にいい変更だと思います。例えば、ミニボスと対峙するときや、特に強力な幻魔の群れと戦うときなど、本当に強力な攻撃が必要なときに使えるのでとても便利です。
仲間との結びつきを表す絆値もあります。見つけたり購入したりした特定のアイテムは、十兵衛の仲間へ贈り物として渡すことができ、ゲーム中の支援やストーリーの展開に影響します。仲間と贈り物の最適な組み合わせを探す過程がとても楽しく、回復用のハーブなど役立つアイテムを返礼として受け取れた時は特にうれしいです。
「現代のプレイヤーにとって、不満の原因になりそうな要素の排除や、遊びやすくするための機能改善もしました」と江城氏は説明を続けます。「たとえば、素晴らしいカットシーンは見ものですが、任意でスキップ可能です。オートセーブ機能も追加し、プレイしやすくなっています。そしてもちろん、オリジナル版のラジコン操作を好むプレイヤーのために、従来の操作方式も残しつつ、入力した方向に移動するアナログスティック操作も選べるようになり、プレイヤーの好みに合わせて、より自然で直感的な操作ができるようになりました」

サウンドと音楽にも大幅な手直しが施されました。オリジナル版作曲家の岩代太郎氏による音楽の細部を再現するため、未圧縮のオリジナル版オーディオが使用されています。江城氏は、カットシーンとゲームプレイの両方のサウンドが、オリジナル ゲームを尊重しつつ、最新のハードウェアで快適に楽しめるようにリミックスされているといいます。「ゲーム音楽のファンにはぜひ注目してほしいのですが、『鬼武者2』を事前予約すると、特典として、厳選したゲーム内楽曲 5 曲の美しいオーケストラ アレンジを収録した ”オーケストラ BGM セレクション” がついてきますよ」と江城氏は付け加えました。
筆者がプレイしたのは約 2 時間ほどでしたが、リマスター版『鬼武者 2』は、過去の名作を現代に蘇らせるプロジェクトの素晴らしい成功例だと感じました。カプコンのチームが、オリジナル版のビジュアルや雰囲気、キャラクター、さらにはクラシックな UI まで忠実に再現し、情熱をかけたプロジェクトであることが伝わってきます。
プロデューサーの田中浩介氏いわく、『鬼武者 2』リマスターの開発チームは、オリジナルのゲームプレイ体験を可能な限り忠実に再現することを常に意識していたそうです。フル リメイクだと全く異なるものになり、彼らが目指していたものにはならなかったでしょう。新しい「鬼武者」体験といえば、来年発売の完全新作『鬼武者 Way of the Sword』も控えています。

「カプコンは、プレイヤーに可能な限り多くのゲームを体験してもらいたいという立場を常に取っており、さまざまなプラットフォームにゲームを移植するだけでなく、古いプラットフォームでしか遊べないタイトルのリマスターやコンピレーションを制作することを目指しています」と田中氏。「『鬼武者 2』のリマスターに対する反応がポジティブであることは本当に光栄です。我々と同じくらい、プレイヤーがオリジナル ゲームを尊重してくれていると感じます」
このシリーズがリリースされてから長い時間が経ちながら、2026 年には新作リリースを控え、さらに『鬼武者2』リマスターも発売されることをうれしく思います。「2019 年に『鬼武者』のリマスターをリリースしましたが、様々な事情により『鬼武者 2』をリリースするまで時間がかかってしまいました」と田中氏は語ります。「しかし、このプロジェクトは新作『鬼武者 Way of the Sword』と並行して進められてきたため、タイミングをうまく合わせられました。新作を待ち望んでいたプレイヤーにも、嬉しいサプライズとなったでしょう」
現世代のコンソールではリマスター作品が数多く存在しますが、懐かしさと現代的な要素をこれほど上手く融合させた作品は稀有な存在です。長年のファンの方にも、新規プレイヤーにも楽しめる要素が豊富に詰まっています。ゲームが 20 年以上前の作品であるにも関わらず、サムライ サバイバル ホラーという独創的なゲーム デザインが、時代を超えて通用するものであることを証明してくれました。

「現在、サムライや剣術をテーマにしたゲームは、オリジナル版が最初に発売された当時よりも多く存在しますが、このゲームは 25 年ほど経った今でも色褪せることない輝きと品質を備えていると自負しています」と江城氏。「戦国時代を舞台にした設定とキャラクターに、幻魔やダークファンタジー的な主題、剣戟アクション、キャラクターの絆値システムなどの RPG 要素が融合した本作は、他作品ではなかなか味わえない体験が楽しめます。5 月 23 日発売のリマスター版をぜひプレイしてみてください!」

『鬼武者2』は 2025 年 5 月 23 日、Xbox One および Xbox Series X|S 向けにリリースされます。Xbox 版は Microsoft Store にて予約特典付きで、プレオーダー受付中です。
※この記事は米国時間 4 月 22 日 に公開された“How Capcom’s Remaster of Onimusha 2: Samurai’s Destiny Makes a Classic Game Better”を基にしています。