先日開催された Xbox Games Showcase 2025 で発表したとおり、私たち Rebel Wolves は、現在シングルプレイヤーでストーリー重視のRPG、『The Blood of Dawnwalker』の開発を進めています。今回はチームを代表して、本作がどうのようなゲームを目指しているか、お話します。
デビュー作となる本作の発表を受けて、このゲームの独自性ともいえるコアな部分について、設定やストーリーはもちろん、私たちが「ナラティブ サンドボックス」と呼んでいるユニークなストーリーテリング アプローチ、さらにはゲームプレイ システムに至るまで、詳しく紹介したいと思います。
『The Blood of Dawnwalker』は 2026 年に発売予定です。今後数ヶ月にわたってさらに詳細をお伝えしていきます。ではまず、私たちが構築している世界を、少しだけお見せしましょう。
ストーリー
私たちのゲームは、東欧のカルパティア山脈のどこかに位置する架空の孤立した谷、「ヴァレ サンゴラ (Vale Sangora) 」を舞台にしています。『The Blood of Dawnwalker』はフィクション作品ですが、実際の歴史が物語の重要な背景となっています。
当時、この地域の人々は危機的状況にありました。14 世紀のヨーロッパはすでに残酷な戦争の爪痕で荒廃していた上に、黒死病の流行という災禍を経て、文明が崩壊する瀬戸際まで追いやられていました。人口は激減し、地域全体が崩壊状態に陥ります。しかし、この疫病は前例のない規模の災厄でありながら、一部の人々にとって無視できない ”チャンス” となりました。そのひとりが吸血鬼のブレンシスでした。彼は地元の領主スケンダー (Skender) を倒し、ヴァレ サンゴラで権力を掌握したのです。

しかし、いくら強力な吸血鬼であっても、暴力だけでは権力を維持できません。人々を味方につけるため、ブレンシスは他にはないものを提供しました。それは、黒死病の治療方法です。吸血鬼の血の特性を利用して、彼は人々を黒死病から救ったのです。
本作は、昼は人間で夜は吸血鬼という、2 つの世界を行き来する運命 (あるいは「呪い」) を背負う「ドーンウォーカー」になってしまった青年コーエンを主人公に、物語は展開します。彼の目標はシンプルで、愛する人々を救うために吸血鬼の力を使います。

コーエンと吸血鬼たち
開発当初から、人間と吸血鬼の 2 つの形態を持つコーエンについて、どちらのプレイ体験も魅力的で楽しく、意味のあるものにすることが目標でした。それぞれが独自の能力を持ち、世界や物語、クエストに影響を与えます。
吸血鬼に関しては、クラシックな「夜の貴族」というイメージを尊重しつつ、より独自性があり、時には不気味な存在として際立たせることを目指しました。
しかし、コーエンの場合、何かが間違っていました。詳細は明かしませんが、その瞬間の結果はヴァレ・サンゴラの境界線をはるかに超えて、広範囲に影響を及ぼすでしょう。
人間を吸血鬼に変えるためには、吸血鬼が自分の歯を引き抜き、選んだ標的の心臓を刺す必要があります。この儀式は、吸血鬼の伝承における最大の変更点のひとつであり、コーエンがドーンウォーカーに変身するうえで重要な役割を果たします。しかし、彼のケースでは何かを間違えていたのです。詳細はネタバレになるので省略しますが、その瞬間がもたらす影響は、ヴァレ サンゴラの境界を遥かに超えて広範囲に影響を及ぼすことになるでしょう。

ナラティブ サンドボックスとは
私たちは、可能な限りプレイヤーが物語をコントロールできるようにしたい、と考えていました。明確な目的がありながらも、それを達成する方法をたくさん提供すること――そうしたプレイヤーの選択によってゲーム展開が変化する仕組みこそが、ビデオゲームによるストーリーテリングのあり方であり、本作独自の強みだと考えています。
『The Blood of Dawnwalker』におけるプレイヤーの任務は、コーエンの家族を救うことですが、その方法はプレイヤー次第です。簡単に説明すると、プロローグが終わったところで世界が一気に広がります。それは移動の自由だけでなく、物語の展開も自由なのです。もちろん大きな目標がありますが、そこに至る道筋はたくさんあります。
あるプレイヤーは、吸血鬼であることを受け入れて、その誘惑に屈するかもしれません。あるプレイヤーは人間性にしがみつき、内なるモンスターを拒絶するかもしれません。人間の反乱軍に協力することもできますし、彼らと一度も出会うことなくゲームをクリアすることもできます。ブレンシスに戦いを挑むタイミングも自由で、複数のルートから選択できます。
このオープンでプレイヤー主導のアプローチを、私たちは「ナラティブ サンドボックス」と呼んでいます。これは私たちのストーリーテリングの核となる哲学です。

戦闘について
コーエンは父親であるベテラン戦士と共に何年も訓練を積んだ人物であるため、昼間は剣を振るって戦います。私たちは中世の戦闘スタイルを研究し、開発チームの数名は、実際に訓練を受けた者もいます。その結果、現実的で本物らしい戦闘でありつつ、手触りやゲームならではの楽しさが感じられる体験が実現しました。
人間として、コーエンは魔法の使い方も学びます。それは、原始的な起源を持つ、儀式に基づいた生々しい闇の魔法です。私たちは派手な爆発やハイファンタジー路線は採用していません。本作の魔法は、暗く現実的なもので、血や熱、空気に結びつき、呼吸しているかのような生命感を持っています。そのビジュアルは印象的ですが、より生々しく、不気味な表現です。魔法を唱えるためには、まず身体にルーンを刻み、超自然的な力に身を委ねる必要があります。体の中に魔法が流れるのです。

しかし夜になると、これらのルーンは肉体が再生するにつれ封印されます。古い傷のように消えていき、代わりに吸血鬼の性質が覚醒します。コーエンは、強化された力や爪、超常的な敏捷性など、日没後にのみ使用可能な闇の力で戦うのです。しかし、これらの力は代償を伴います。それは、コーエンの人間性です。吸血鬼として血を欲する願望が生じ、コーエンの健康状態と飢えを結びつけるシステムとなっています。体力を失っていくことで吸血鬼としての本能を制御できなくなり、最悪の場合は NPC から強制的に血を吸い取ったり、会話オプションや進行中のクエストから閉め出されたりする可能性があります。
『The Blood of Dawnwalker』についてさらに詳しくお話ししたいところですが、今回はここまでにしておきましょう。この奥深いドラマが楽しめる RPG 作品について、お読みいただきありがとうございました。さらに深く知りたい方は、6 月 21 日 (夏至の日) に開催される特別なゲームプレイ公開イベントをご覧ください。ゲーム内の戦闘、探索、魔法など、より多くのシーンを視聴できます。詳細は dawnwalkergame.com をご覧ください。
※この記事は米国時間 6 月 9 日 に公開された“A Grounded Take on Dark Fantasy & Vampires – Story, Design and Combat in The Blood of Dawnwalker”を基にしています。