リビング ポピュレーション (生きている人々) は、『Fable』の核となるシステムです。これは、アルビオンの世界に命を吹き込む 1,000 人以上の NPC を指す呼び名です。彼らは一人ひとりが固有の個性を持ち、プレイヤーが見ていようがいまいが、それぞれの人生を歩んでいます。あなたが操るヒーローはその全員と関わることができ、友人や敵、雇い人、配偶者、あるいは……死体にすることも可能なのです。
「XBOX Games Showcase 2026」において、Playground Games の開発チームはリビング ポピュレーションのシステムがどのように動作するのか、その一部を披露しました (さらに詳しい様子を 30 分のゲームプレイ映像にもまとめました)。今回私たちは、この広大かつ反応が豊かでユーモア溢れるシステムがどのようにして形作られたのか、そしてなぜ『Fable』がそれを実現するのに最高の舞台だったのか、もう少し詳しくお話ししたいと思います。
最初のアイデアから、ゲーム全体に影響を与える予想外の展開、 そして皆さんから寄せられた大きな疑問への回答まで、『Fable』のリビング ポピュレーションについて知っておくべきすべての情報をお届けします。
すべてはここから始まった
すべては、オリジナルの「Fable」シリーズで私たちが何を愛していたのかを深く見つめ直すことから始まりました。特に記憶に残っていたのは、アルビオンの住人たちとの交流がとにかく楽しかった、という点です。開発の当初から、世界が本当に生きていると感じられるようなシステムが必要だと確信していました。
私たちは、NPC を単に「賑やかな空間」を演出するためだけの飾り物にはしたくありません。本作で目指したのは、プレイヤーが実際に関わり合える「個」としての人間です。気に入った相手を見つけて関係を築くこともできれば、徹底的に怒らせることも、亡き者にすることもできます。「プレイヤーが関わりたくなるようなキャラクターを作る」――どのように関わるにせよ、それがすべての出発点となったのです。
そこから雪だるま式にアイデアが膨らんでいき、NPC のスケジュールや時間帯についての議論が始まりました。現実的な人間を描くのであれば、彼らは現実的に行動しなければなりません。つまり、住む場所や眠るためのベッドが必要になりますし、日中にやるべき仕事や趣味も必要です。仕事があるなら、彼らはどこで働いているのか? 仕事がないなら、パブに行くような余裕はあるのか? 私たちが達成したいことのリストは、あっという間に膨大なものになりました。

「生きている人々」をその手で創り出す
すべての NPC を手作業で作るには膨大な労力がかかります。そのため、当初はプロシージャル (自動生成) ツールを使って世界に必要な NPC を生み出そうと考えていたのですが、NPC に実在感や説得力を持たせるためには、自動生成ではうまくいかないことがすぐにわかりました。ツールが生成した NPC は、ランダムで一貫性に欠けていたのです。よくあることですが、私たちはゲーム内のすべての NPC を細部までちゃんとコントロールしたいので、すべての人を「手作業でデザインする」という、少しクレイジーな決断を下しました。
視覚面において、キャラクターたちはすべてモジュール式のパーツから構築されています。何百ものパーツを用意し、アーティストはその膨大なワードローブから、NPC が世界のどこに住んでいるか、そして彼らが貴族か平民か、あるいは悪党かといった属性に基づいてパーツを組み合わせていきました。しかも、NPC の声は、全員がフル ボイスで喋ります。このリビング ポピュレーションのためだけに、約 100 人の声優を起用しました。
しかし、真にハンドメイドなのは、彼らの個性を構築するプロセスです。すべての NPC には特徴 (プレイヤーに表示される性格の解説)、住む場所、仕事、スケジュールなどが設定されています。これらの作業はすべてゲーム デザイン チームが行いました。実在感のあるキャラクターを確実に生み出すために、そのレベルのコントロールを確実に行いたかったのです。
例えば、お高くとまった貴族なら、屋敷に住み、それに応じた外見をしています。プレイヤーが NPC を見たとき、その外見からこれらすべての異なる要素が一体となってひとつのストーリーを語り、その人物の雰囲気をすぐに察することができなければなりません。

開発を進める中で、私たちが正しい方向に進んでいると確信できた瞬間のひとつは、他の開発スタッフが私のところへやってきて、「ヘレンに何があったの? 見た目がすっかり変わって、引っ越しまでしてるんだけど!?」と言ってきたときでした。
その瞬間、「まだテスト段階なのに、スタッフは NPC に愛着を持ち始めているぞ」と気がついたのです。開発チーム メンバーは、無意識のうちにキャラクターたちと関係を築いており、私たちの取り組みが狙いどおりの効果を生んでいると実感しました。
開発を始めた当初は、これを正しく形にするのがどれほど困難かわかっていなかったと思います。ここに至るまでには本物の血と汗と涙の結晶がありましたが、この道を選んで本当に良かったと思っています。最終的に完成したものは、まるで「インタラクティブな “人物のオモチャ箱”」のような手応えを感じさせてくれます。
「人物のオモチャ箱」
このオモチャ箱で遊ぶことこそが、世界に命を吹き込まれる瞬間です。世界の中で初めて NPC に出会ったとき、ゲーム画面には彼らの名前、世界における役割、そして特徴が表示されます。この特徴は彼らの人格を示す短い識別子であり、その人物に関する多くの情報を含んでいます。
例えば、「バーテンダーのボブ。心優しい平民」といった具合です。これだけで、彼がどのような人物で、プレイヤーの行動や獲得してきた「評判」に対してどんな反応するかが推測できます。「評判」は相手からの評価に影響し、好かれることもあれば嫌われることも、恐れられることも、あるいは好意を持たれることもあります。それによって、あなたが相手とどう関わりたいかを決める手がかりになっています。
NPC と話す際、画面の端にソーシャル パネルが表示され、より詳しい情報が確認できます。そこには、彼らがなぜあなたに対してそのような感情を抱いているのかが、主にその集落におけるあなたの「評判」に基づいて表示されます。ひとつの集落では最大 6 つの評判が同時に有効になり、これらは互いに影響を及ぼし合います。

本作の NPC は複雑な個性を持ち合わせており、複数の評判の組み合わせによって、あなたを好きになったり嫌いになったりします。例えば、私が鶏を追いかけまわす様子を見られてしまった「チキン チェイサー」だからといって馬鹿にしていた住人も、「富裕な実業家」になれば態度を一変させるかもしれません。
別の方法で彼らの人生の一部になることもできます。彼らの家を買い取って大家になることもできれば、店を買い取って彼らの雇い主になることもできます。その両方を行って、彼らの給料と家賃をコントロールすることさえ可能ですが、これは諸刃の剣でもあります。ある住人は、あなたの行動や評判を嫌って働くのを拒むかもしれません。もし誰もあなたの店で働きたがらなければ、店は開店できず、私は収入を得られません。あるいは、家賃を払えないほど低い賃金しか与えなければ、彼らは家を引き払わざるを得なくなり、あなたは店借人を失うことになるでしょう。
さらにこれらを超えた部分に、実質的な「NPC の記憶」システムが存在します。例えば、誰かに仕事を与えれば、あなたに対する感情が変わるかもしれません。物乞いに大金を与えれば、彼らは自分が豊かになり、結果として人生が変わったことを記憶します。そして、もし彼らの配偶者を殺害してしまったら……当然、彼らはそのことであなたに激しい恨みを抱き続けるでしょう。
そして、これらすべてはプレイヤーの関わり方で変更できる変数であるため、結果として NPC も変化する可能性があります。これは常に進行形であり、理論上はあなただけのリビング ポピュレーションを永遠にいじくり回し続けることができるのです。

すべては、真に反応性のあるシステムを創り出すためのものです。プレイヤーがどのような方法を選んでこの世界を遊び回ろうとも、それに応じた報酬を与えたいと考えています。ただ反応を見るためだけに NPC に贈り物をすることもできます。面白いセリフが返ってきたり、予想もしなかった評判のポイントを獲得できたりするかもしれません。時にはプレイヤーとしてただ「何が起こるか見てみたい」と思うこともあるでしょう。もしこの腐った果物のカゴを、お高くとまった貴族に投げつけたらどうなるのでしょうか? 必ず何らかの反応が返ってきます。
愛と死
リビング ポピュレーションを発表して以来、特に多く寄せられた 2 つの関連する質問があります。「ゲーム内のすべての NPC と恋愛ができるのか?」、そして「ゲーム内のすべての NPC を殺せるのか?」です。ここでその両方にお答えしましょう。
ゲーム内に登場するすべての成人の NPC と恋愛関係を築くことができます。デートをして結婚し、子供をもうけて、共に暮らすことができます。したがって、最初の質問への答えは「イエス」です。ただし、必ずしも「全員と同時に」できるわけではありません。
本作の NPC は、プレイヤーの行動や評判に基づいて異なる好悪の傾向を持っています。ある NPC があなたを嫌うのと同じ理由で、別の NPC があなたに惚れることもあるのです。当然、誰かと新しい関係を始めたり同居したりするために、既存の家庭を壊してしまうこともあるでしょう。それは関わる他の人々があなたをどう思うかに影響を与えます。しかし、こうした状況は決して取り返しのつかない状況ではありません。あなたに好意を抱いている NPC と関係を始めるほうが簡単なのは間違いありませんが、もしあなたを完全に嫌っている NPC と関係を築きたいのであれば、彼らの評価を変えるための様々な行動を取る必要があるでしょう。

2 つ目の質問についてですが、こちらも同様に、すべての成人 NPC を殺害することが可能です。NPC を殺した場合、彼らは完全に失われ、世界から消去されます。もし望むなら、ひとつの集落の全員を殺害することも可能で、その場所はしばらくの間、無人になります。ただし、時間の経過とともに集落へ徐々に人が戻ってくる (再入居する) システムも用意されています。
これは、プレイヤーにどこまでの破壊行為を許すべきか、私たちが何度も議論を重ねた部分です。ひとつの考え方としては、「プレイヤーがやったことなら、その代償を受け入れさせるべきだ」というものがあります。しかし、もしその結果、集落が実質的に閉鎖されてしまったらどうでしょうか? 最初はクールで面白いと感じるかもしれませんが、ある時点でそれはただのストレスに変わってしまう可能性があります。そのため、私たちは結果に永続性を感じさせつつも、プレイヤーがゲームを最初からやり直さなければ挽回できないような、行き詰まった状態に陥らないためのバランスで調整しています。
これは、私たちが用意しているもうひとつのシステム「集落の特性」にも結びついています。あなたが集落に足を踏み入れたり、あるいはマップ上でその場所 (例えばシルバーブルックなど) が表示されたりすると、そこには集落の名前や説明テキストとともに、現在その集落で有効なあなたの評判が表示されます。もしあなたがその集落で多くの NPC を殺害するなどのインタラクションを行った場合、その集落の説明は「人口の少ない農村」へと変化します。
選択と代償
行動のフィードバックという点において、リビング ポピュレーションは他の様々な形でもゲーム全体と結びついています。その大きな一例が「クエスト」です。先ほど集落の特徴について触れましたが、クエストにおけるあなたの選択は、集落に劇的な影響を与えることがあります。以前にもお話ししたように、巨人のデイヴ (イギリスのコメディアン、俳優のリチャード アイオアディが演じるキャラクター) を生かすか殺すかの選択は、世界そのものを変えるだけでなく、シルバーブルックに住む人々にも影響を与えます。
地平線に巨大な死体を放置することは、一時的に観光名所として機能し、そこに住む人々の生活に影響を与えます。それは住宅の価格にも影響を及ぼすでしょう。観光客が増えたためかもしれませんし、あるいは、しばらくすれば間違いなく酷い悪臭を放つであろう巨人の死体が風景の中に横たわっているせいかもしれません。これによって集落の特徴も変化し、その説明文は「巨人の死体で有名な町」といったものに変わるのです。
しかし同時に、リビング ポピュレーションの側からあなたのゲームプレイに影響が返ってくることもあります。

例えば、ひとつの集落で複数の NPC と結婚している場合、その秘密を知る人物から脅迫されることがあります。この遭遇においてあなたがどのような選択をするかによって、一方または両方のパートナーとの関係に劇的な影響が及びます。
多くのゲームと異なるのは、こうした小さな遭遇における選択であっても評判ポイントを獲得でき、それが再び大きなシステムへと還元される点です。そのため、NPC との些細な交流であっても、他のシステムに影響を与え、ゲーム全体に波及効果をもたらす可能性があるのです。
友、敵、 そしてその間にあるすべて
このゲームを制作するにあたって、私たちは幸運な立場にあったと思います。私たちは常に「これは Playground Games の『Fable』であり、Lionhead Studios が作ったゲームの直接的な続編を作っているわけではない」と言い続けてきました。しかし同時に、それら過去作品の中にこそ、『Fable』を『Fable』たらしめる重要な要素があることも理解していました。
プレイヤーの行動に反応する NPC は、間違いなくその核となる要素のひとつです。リビング ポピュレーションを構築することは、過去の作品が成し遂げたことを見つめ直し、それをさらにどのように進化させられるかを模索する絶好の機会となりました。これは、我々の道徳システムや、アルビオンの住民がそれぞれの視点を通じて、プレイヤーの行動をどう捉えるかという点に、はっきりと表れています。
それが意味すること、そしてプレイヤーとしてどのように感じられるものなのでしょうか?もし異なるキャラクターたちと交流していく中で、誰かに嫌われてしまったら、それを変えるために何をしなければならないのでしょうか?それによって、あなたのゲームの遊び方はどう変わるのでしょうか?
これが『Fable』の中で並外れた人生を築き上げていく方法です。すべては白黒つけられない曖昧さの中にあります。私たちやゲームが、何が善で悪かを決めるわけではありません。リビング ポピュレーションにおいて、あなたの行動を裁き、評価するのは、NPC たち自身なのです。
『Fable』は 2027 年 2 月 24 日に XBOX Series X|S、XBOX on PC、Xbox Cloud で発売予定です。XBOX Game Pass Ultimate および PC Game Pass なら発売初日からプレイ可能です。また、XBOX Play Anywhere 対応により、追加費用なしで Xbox コンソールと PC の両方でプレイ可能です。
※この記事は米国時間 6 月 10 日 に公開された“Fable: How We Built the Living Population”を基にしています。