『トゥームレイダー: レガシー・オブ・アトランティス』はいかにして過去を再構築し、鮮やかな未来を描いたのか

「アンチャーテッド」シリーズのネイサン ドレイクが登場するより 10 年も前に、ララ クロフトは映画のようなアクション アドベンチャー ゲームの元祖『トゥームレイダー』(1996 年) で鮮烈デビューを果たしました。当時 10 歳だった私は、革新的だった 3D グラフィックに大興奮したのを覚えています。「トゥームレイダー」シリーズは常にゲームにおける視覚的な可能性の限界に挑戦し続けてきました。だからこそ、テクノロジーが進化するにつれて、本作はリメイクの絶好の候補であり続けてきたのです。オリジナル版のリメイクとしては、すでに『トゥームレイダー:アニバーサリー』(2007 年) がリリースされていますが、オリジナルから 30 年が経過した今、ララが再び原点へと戻り、これまでの進化の歩みを証明するときがやってきました。

新作『トゥームレイダー: レガシー・オブ・アトランティス』は、初代『トゥームレイダー』を現代に再構築 (リイマジニング) した新作で、『Shadow Warrior』で知られる Flying Wild Hog と、ララの原点を描いた前日譚「サバイバー三部作」 (※) の開発元として名高い Crystal Dynamics の共同で行われています。本作『レガシー・オブ・アトランティス』は、そのサバイバー三部作のララの旅路を継承しつつも、新たなキャスト (アリックス ウィルトン リーガン) を迎え、独自の新しいスタイルを取り入れています。

※『トゥームレイダー』 (2013 年)、『ライズ オブ ザ トゥームレイダー』 (2015 年)、『シャドウ オブ ザ トゥームレイダー』 (2018 年) の 3 作。オリジナル版の前日譚となっている。

6 月上旬に開催された「Summer Game Fest: Play Days」にて、私は本作の序盤のステージであるペルーの「失われた谷」の短いデモをプレイする機会を得ました。まずは、ジャングルの遺跡でパズルを解き、「クアロペック王墓」への進入を試みるという、クラシックな「トゥームレイダー」シリーズらしい体験からスタートします。過去のバージョンと同様に、周囲の環境に隠されたいくつかの大きな歯車を見つけて配置していくギミック (他にも様々な隠し要素や収集アイテムが用意されています) がありましたが、過去作と決定的に違っていたのは、周囲のロケーションが遥かに有機的かつ緻密で、美しくなっていた点です。

『レガシー・オブ・アトランティス』のビジュアルを表現するのに、真っ先に思い浮かぶ言葉は「瑞々しさ」でしょう。以前のトレーラーでも紹介された、次のセクションへの移行シーンが特に顕著でした。ララが滝をくぐり抜けると、目の前に「失われた谷」の壮大な絶景が広がり、そこから滝壺へと飛び込んでいく、あのシーンです。当時のトレンドでもありましたが、サバイバー三部作はそのリアルで泥臭い描写が絶賛され、これまでにないダークで地に足のついた「トゥームレイダー」を提供してくれました。それに対して『レガシー・オブ・アトランティス』は、ビジュアルの忠実度という意味ではリアリズムを維持しつつも、色彩の鮮やかさをグッと引き上げています。すべてが少しだけ鮮明に、少しだけスケールアップし、少しだけドラマチックになっているのです。様式化されたり誇張されたりしすぎていると感じるほどではなく、まさに「フルカラーのリアリズム」に満ちた見事な仕上がりです。

その華やかさはアクションにも現れています。続くセクションで、ララはお馴染みの「二丁拳銃」を取り出し、恐竜たちとの戦闘に挑みます。フォーカス ゲージを溜めると、ララはバレット タイムを発動することができ、時間を極限まで遅くさせながら宙返りすることができます。そこで超人的なスピードで拳銃を連射し、照準に捉えたヴェロキラプトルをハチの巣にしていきます。サバイバー三部作が地に足のついたリアルな戦闘に焦点を当てていたのに対し、このバレットタイムを駆使したララの洗練された身のこなしは、初期作の代名詞でもあったアクロバティックな動きを楽しくスタイリッシュに融合させており、ゲーム体験をさらに高めてくれます。

また、今回登場するヴェロキラプトルや T-レックスには新たに羽毛が生えており、これはビジュアル的なクールな進化であると同時に、最新の古生物学に照らし合わせた表現となっています。これこそが『レガシー・オブ・アトランティス』というプロジェクト全体を象徴していると言えるでしょう。根底にある骨組みは同じですが、私たちは当時よりも多くの知識を手に入れており、それを活かしてさらにカッコよく仕上げることができるのです。

デモのプレイ後、私は本作を率いる 3 人のクリエイターにインタビューを行いました。Crystal Dynamics のエクスペリエンス ディレクターであるジェフ アダムズ (Jeff Adams) 氏、同社ゲーム ディレクターのハウル シケイラ (Raul Siqueira) 氏、そして Flying Wild Hog のアート ディレクターであるアレク トマシェフスキ (Arek Tomaszewski) 氏です。「トゥームレイダー」シリーズが原点へと回帰し、30 年の知識とテクノロジーを駆使してオリジナルに再挑戦することについて、そして本作がオリジナル版やサバイバー三部作と何が違うのかについて話を伺いました。

――初代『トゥームレイダー』のリメイクとしては今回で 2 度目となりますが、オリジナル版にどれくらい忠実であるべきだと感じていますか? また、逆にどれくらい自由にアレンジや独自のアイデアを盛り込んでいますか?

ジェフ アダムズ氏 (以下アダムズ氏): 私たちは間違いなくオリジナル版の大ファンですし、プレイヤーの心に響く体験にしたいと考えています。かつての冒険から皆さんが覚えているであろう、明確で象徴的な要素はしっかりと残したいですね。ですが同時に、それらに縛られすぎて身動きが取れなくなるのも避けたいと考えています。「ここは現代のプレイヤー向けにより適した形へアレンジできるポイントだ」と提案できる余地を持ちつつ、私たちが描きたい物語を紡ぐ手助けになる――そんなアプローチを大切にしたいのです。

ハウル シケイラ氏 (以下シケイラ氏): ジェフの言葉に付け加えるなら、私たちが社内外でよく使っている言葉が再構築 (リイマジニング) です。これは単にグラフィックを綺麗にしただけの同じゲームではない、ということを皆さんに理解していただきたいからで、私たちは多くの新しい血と、新しい要素を注ぎ込もうとしています。もちろん原作への敬意は忘れずに、オリジナル版や『アニバーサリー』がやったことと、私たちがやろうとしている新しいことの境界線を見極め、そのバランスをうまく取ろうとしています。ですから、私たちにとって再構築とは、「オリジナル版の雰囲気やアイデアをどのように受け継ぎ、それを現代のプレイヤーに適した形で表現するか」という意味を持っています。

アレク トマシェフスキ氏 (以下トマシェフスキ氏): T-レックスのボス戦が良い例ですね。T-レックスのデザイン自体は、オリジナル版の姿を非常に尊重してそのまま残そうとしていますが、そこに赤い羽毛を追加することで、明らかに新たな魅力を加えています。戦闘自体も、オリジナル版は非常にシンプルで「撃って走る」だけでした。今回は、よりシネマティックな体験を作り上げ、オリジナル版にあったものを拡張しようとしています。

アダムズ氏: そうですね、ぜひ『アニバーサリー』をもう一度プレイしてみてください。過去の面影はそこにも感じられますが、本作はこれまでにない形で表現されています。

――オリジナル版以降、30 年にわたって数々の「トゥームレイダー」シリーズが作られてきましたが、その後のシリーズ作のアイデアの中で、今回の新しいアプローチにぜひ取り入れたいと思ったものはありますか?

シケイラ氏: 本当にたくさんの要素を検討しました。私たちにとって最も身近な例であるサバイバー三部作は、「トゥームレイダー」の核心である 3 つの要素「パズル」「探索」「戦闘」を考えるうえで、非常に良い入り口になっています。サバイバー三部作は「戦闘」に重点が置かれており、私たちはそれを少し複雑にし、深みを持たせました。先ほどアレクも少し触れていましたが、私たちは『レガシー・オブ・アトランティス』における戦闘を、単に「狙って撃つだけ」のものにしたくありません。かと言って、これが「純粋な戦闘ゲーム」だとも思われたくはなかったので、その中間となるちょうど良いバランスを見極めたかったのです。

そこで今回、「フォーカス ゲージ」のようなシステムを導入しました。これは、いわば戦闘におけるリソースのようなものです。基本的には、ダメージを与えたり受けたりすることでゲージが溜まり、それを消費することでバレット タイム (時間の流れが遅くなるモード) に突入します。これこそが、両者の要素を融合させる素晴らしい方法でした。なぜならオリジナル版のララは、サバイバー三部作のような地に足のついたスタイルとは異なり、もっと多くのアクロバティックな動きをしていたからです。私たちは「アクロバットは絶対に必要だ」と考えましたが、ゲームの仕組みとして、ジャンプや回避に長い時間をかけてしまうと、それだけ無防備になり、ダメージを受けるリスクが高まってしまいます。そこで、ボタンを押して時間を遅くしたときに、ララの個性や機動性を活かしたクールな動きができるようにしました。これによって、より多くのダメージを与えるチャンスが生まれ、ララの魅力を最大限に引き出すことができるようになったのです。

このように、サバイバー三部作はもちろん、『トゥームレイダー 美しき逃亡者』(2003 年) などこれまでのすべての過去作を見返し、過去作でやっていたことで自分たちが気に入っているものは何なのか、オリジナル版には何があったのか、そしてそれらをどう組み合わせたらいいか、という細かい調整を積み重ねています。

――「トゥームレイダー」は初代の段階から、常に 3D ゲームのビジュアルの最先端を走ってきました。今回の作品で、過去の世代では不可能だったけれど、今回達成できて特に興奮していることはありますか?

トマシェフスキ氏: 「トゥームレイダー」は常にビジュアルの基準を非常に高く設定してきました。サバイバー三部作をプレイしたときも素晴らしかったですし、オリジナル版を当時プレイした時は「一体何が起きているんだ?」「なぜゲームプレイが 3D で実現できているんだ?」「なぜ全方向に動けるんだ?」と驚愕したものです。ですから私たちは、色彩の配色を含めてオリジナル版におけるビジュアルの説得力を大切にし、あの環境がもたらした「驚き」の感覚を再現したいと考えています。同時に、サバイバー三部作は非常に泥臭く、動きや色彩、ララができることにおいて、ある意味で非常にリアルでした。今回はより自由度を高くし、さらに味付けを加えることができるのです。もちろん、世界を美しく構築し、まだ誰も見つけていない場所を発見したときの感覚を作り出そうとしています。今の時代、Unreal Engine を使えば、美しい世界を作り出すために多くのことができるようになりました。

――象徴的なキャラクターの新たな解釈として、今回のララはこれまでのバージョンと何が違うのでしょうか?

アダムズ氏: アリックス (今回のララのキャスト) です。非常にストレートな答えですが、これが全てです。私たちが脚本を書き上げ、「よし、これは素晴らしい。最高のものになるぞ」と自画自賛して、試作を作ったとします。それを収録ブースやスタジオに持ち込むと、アリックスがやってきて、そのセリフを完全に変貌させてしまうのです。彼女はララが持つクラシックな「格好よさ」を蘇らせると同時に、本物の人間らしい感情の表現を吹き込んでくれました。玉ねぎの例えはあまり好きではないのですが、彼女のララの演じ方は何層にもなっており、それが状況によって少しずつ剥き出しになっていきます。他のキャラクターと接している場面や、ひとりの人間としての人間味が少し垣間見える瞬間などを観て、プレイヤーがアリックスの演技にどう反応するのか今から本当に楽しみです。彼女の演技のクオリティは、まさに職人の技を見ているかのようで、本当に素晴らしいものがあります。

シケイラ氏: そのとおりですね。また、私たちにはサバイバー三部作を手がけたというアドバンテージがあります。あれが「過去」であり、この『レガシー・オブ・アトランティス』が「現在」であるという位置づけです。これによって、これまで私たちが描いてきたすべての要素が反映され、キャラクターのニュアンスや描き方に一本の筋が通るようになります。プレイヤーの皆さんには、「サバイバー三部作を生き抜き、成長して、ララは『レガシー・オブ・アトランティス』の姿になったんだ」ということを感じていただけるはずです。

アダムズ氏: ええ、これまでのすべての経験が活きています。完全に繋がっているのです。ただし、今回の彼女がサバイバー三部作のことを引きずっているわけではありません。それは彼女の過去であり、確かに存在した事実だったのです。

――プレイヤーが実際に本作をプレイした際、どんな発見をしてくれるのが一番楽しみですか?

(一同爆笑)

トマシェフスキ氏: まだ皆さんにお話しできないことが、少なくとも 16 個はありますね。私たちがそれらを作るときに大興奮したのと同じように、プレイヤーの皆さんもそれらを発見したら大興奮してくれるはずです。私たちは全員が「トゥームレイダー」ファンであり、この世界を再構築し、自分たちの味付けを加える機会を得られたことを誇りに思っています。ファンが期待していることに対しては、最大限の敬意を払ってきました。皆さんが見つけてワクワクするような、小さなイースター エッグ (隠し要素) がたくさん散りばめられています。それだけでなく、環境や戦闘、ストーリーにおける大規模な驚きも用意されていますよ。数ヶ月後にまた聞きに来てください (笑)。

シケイラ氏: その質問は 2 月にまた聞いてください (笑)。そうですね、散りばめられたイースター エッグは、間違いなく心を温かくしてくれるものです。それらを作り、ゲーム内に配置しながら、皆さんがそれを見つけて、どれほどの愛と情熱が注ぎ込まれたかを感じてくれるのを、私たちは心待ちにしています。

私個人としては、ちょうどさっきも話していたのですが、やはり「二丁拳銃」が戻ってきたことに感動しています。サバイバー三部作では、これを現代のゲームとして落とし込む機会がなかなかありませんでした。ですから、二丁拳銃を楽しくてバランスが良く、戦闘でも爽快感のある形にどう取り入れるか、私たちなりの表現を見つけることができたと思います。私が最も誇りに思っている点のひとつであり、プレイヤーの皆さんに早く触れていただきたい要素ですね。

アダムズ氏: 最初のトレーラーを公開したとき、私たちは当然、たくさんのリアクション動画を見ました。ゲームのほんの断片的なシーンに対する皆さんの熱狂的な反応を見て、ゲーム全体がリリースされたときにどんな反応が見られるのか、本当に楽しみになりました。ですが、私個人が最もワクワクしているのは、プレイヤーが世界を移動している中でふと足を止め、「ちょっと待って、本当に自分がこの大自然の中にいるような感覚だ」と感じる、そんな何気ない瞬間の数々です。ゲーム内の世界はビジュアルも素晴らしく、ララの動きも非常に滑らかなので、これまでにないほどララになりきって、彼女の旅を体験していただけると思います。

トゥームレイダー: レガシー・オブ・アトランティス』は、Xbox Series X|S 向けに 2027 年 2 月 12 日発売予定で、現在予約受付中です。

※この記事は米国時間 6 月 11 日 に公開された“How Tomb Raider: Legacy of Atlantis Reimagines the Past Into a Vibrant Future”を基にしています。

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