意外に感じられるかもしれませんが、「Castlevania (キャッスルヴァニア)」シリーズは 10 年以上にわたって完全新作が発売されていません。その待望のシリーズ復活にあたり、KONAMIは一部のファンを驚かせるかもしれない選択をしました。高い評価を得た DLC『Return to Castlevania』を含む『Dead Cells』での仕事で広く知られるフランスのスタジオ Evil Empire に、同社を代表するシリーズのひとつを託したのです。
パリ 14 区にある聖ジャンヌ・ダルク礼拝堂という独特なロケーションで、報道関係者を対象とした『Castlevania: Belmont’s Curse』初の試遊会が開催されました。本作が、フランスの首都をダークかつゴシックに再解釈した世界から幕を開けることを考えると、これ以上ないほどふさわしい会場です。試遊を終えた後、私たち XBOX Wire は コナミデジタルエンタテインメントのプロデューサーである谷口勲氏と、Evil Empire のクリエイティブ ディレクターであるエマニュエル・ヌアイ (Emmanuel Nouaille) 氏に話を伺い、「Castlevania」の物語におけるこの新たなる章がどのように誕生したのかを伺いました。
トリビュートから始まった共同開発
『Castlevania: Belmont’s Curse』に先立ち、Evil Empire は高い評価を得た『Dead Cells』の DLC『Return to Castlevania』で、すでに KONAMI と共同開発を行っていました。しかし当時、この協力関係が最終的に「Castlevania」シリーズの完全新作へとつながることを示すものは何もありませんでした。
谷口氏によると、KONAMI がフランスのスタジオとの仕事を継続することにした理由は、大きく 2 つあったといいます。
「ひとつ目は、Evil Empire が「Castlevania」に対して抱いている情熱です。ふたつ目は、アクションゲームに関する同社の専門性です。「Castlevania」は一貫してアクションゲームのシリーズであり、操作性やゲームプレイ、全体的な手触りがプレイヤーの期待に応えるものであることが不可欠でした」
KONAMI が求めていたのは、シリーズへの情熱だけではありません。「Castlevania」を形作る要素を理解すると同時に、現代的なアクション ゲーム デザインの要請にも応えられるチームでした。
一方、ヌアイ氏はその評価を謙虚に受け止めています。谷口氏に褒められた後で自分が答えるのは少しおこがましい気がすると笑いながら、最終的に決め手となったものを、次のように簡潔にまとめました。
「私たちにとって最高の履歴書は、単純にこれまで手掛けてきた仕事そのものでした」

当初、Evil Empire が提案していたのは、「Castlevania」へのトリビュートとなる DLC の制作だけでした。しかし KONAMI との対話を重ねる中で、共同開発は次第に、はるかに野心的なものへと発展していきました。
同スタジオが持つ技術的な専門性に加え、この協力関係によって両チームの間には強い信頼関係が築かれました。『Return to Castlevania』の開発が非常に良好な環境で進んだことで、より大規模なプロジェクトで再び手を組むことは、自然な次の一歩となったのです。
ヌアイ氏は、その信頼を象徴する印象深いエピソードを紹介してくれました。
「DLC が完成した際、谷口勲さんがスタジオを訪れ、実際にプレイしてくれました。城を探索する中で、それまで気づいていなかった細かな要素や隠し要素をいくつも見つけたんです。そして、こちらを振り返ると、ただ親指を立ててくれました」
それはごくさりげないしぐさでしたが、チームに強い印象を残しました。
ヌアイ氏にとって、それが、この共同開発が一度きりのものを超えた関係になり得ると実感した瞬間だったのでしょう。
「Castlevania」とは何かを定義する

谷口氏とヌアイ氏のどちらにとっても、すべては同じ問いから始まりました。「「Castlevania」らしいゲームとは、いったい何なのか」という問いです。一見すると、答えは明白に思えます。しかし、KONAMI を代表するシリーズのひとつを復活させることは、当初考えていたよりもはるかに複雑でした。
ヌアイ氏は次のように説明します。
「「Castlevania」が意味するものは、人によって異なります。私たちはそれぞれ異なるゲームやキャラクター、思い出とともに育ってきました。新しいゲームを作り始める前に、まず「Castlevania」を定義する中核的な柱について、全員の認識を一致させる必要がありました」
谷口氏も同じ考えを共有しており、ファン一人ひとりがシリーズと異なる関係を築いていると説明します。そのため、KONAMI の役割は、「Castlevania」のアイデンティティを守りながら、Evil Empire が独自のビジョンを表現できる共通のクリエイティブな枠組みを定めることでした。
新たな主人公やストーリー、ゲームシステムを導入する前に、両チームはまず、その土台を固めることに注力しました。本作は、探索型 2D アクションゲームであり続け、「Castlevania」の正史に組み込まれ、聖なる鞭「ヴァンパイアキラー」をゲームプレイの中心に据えなければなりません。そうした原則について合意した後、KONAMI は意図的に Evil Empire に大きな創作上の自由を与えました。
しかし、その自由は無条件のものではありませんでした。ヌアイ氏が説明するように、「Castlevania」を現代化することは、シリーズが築いてきた伝統に背を向けることではありません。すべての新しいアイデアは、まずシリーズを形作る柱のいずれかを起点とし、そこから現代のプレイヤーの期待に応える形へと発展させる必要がありました。

その最も明確な例が鞭です。「Castlevania」を象徴する要素のひとつである以上、鞭は絶対に外せない要素でした。Evil Empire は鞭そのものを作り変えるのではなく、戦闘と移動の双方における役割を拡張することを選びました。敵を倒すときと同じように自然に鞭を使って世界を移動できる、俊敏で強力なヴァンパイア ハンターになったとプレイヤーに感じてもらうことが目標でした。
ゲーム全体のテンポにも、同じ考え方が反映されています。チームが目指したのは、よりスピーディーでエネルギッシュな冒険です。その一方で、罠や環境上の危険、次第に創造性を増していく鞭の使い方によって、探索はさらに歯応えのあるものになっています。「Castlevania」の現代化とは、ゲームプレイを単純にすることではありません。シリーズを一貫して特徴づけてきた成長の感覚を守りながら、プレイヤーに与えられる選択肢を広げることなのです。
同じ方針は物語にも及んでいます。『悪魔城伝説』と『悪魔城ドラキュラ 闇の呪印』に続く物語を描きながら、『Castlevania: Belmont’s Curse』では新たなヒロイン、ローズも登場します。ローズは、既存の「Castlevania」の世界の中に、自然にその居場所を見出しているキャラクターです。シリーズの設定から無関係に派生した存在ではなく、その伝承を拡張する存在なのです。
この枠組みの中で、Evil Empire は冒険の舞台をパリに設定し、数多くの歴史的要素を世界に盛り込むことで、独自の感性をプロジェクトに反映することに成功しました。『Castlevania: Belmont’s Curse』は、単なるライセンス作品ではなく、KONAMI とフランスのスタジオが継続的に対話した結果として生まれた作品です。
ヌアイ氏は、次のように語ります。
「これは受託制作のプロジェクトではありません。真の意味でのクリエイティブな共同開発でした」
最初の数分から伝わる開発思想

そうしたクリエイティブ上の判断は、コントローラーを手にするとすぐに実感できます。『Castlevania: Belmont’s Curse』が目指しているのは、従来の形式を単に現代向けにアップデートすることではありません。何十年にもわたって「Castlevania」を形作ってきた土台を守りながら、シリーズのゲームプレイを進化させることです。キャラクターのアニメーション、視覚効果、サウンド デザイン、そして攻撃一つひとつの手応えが合わさることで、シリーズならではの明確な個性を失うことなく、戦闘をより躍動的で分かりやすく、満足感のあるものにしています。
鞭の多様な使い方は、隠された道を探すために一度訪れた場所へ戻ることを自然に促すと同時に、移動を大幅にスムーズなものにしています。谷口氏は、鞭の役割を広げることがチームの主要な目標のひとつだったと認めています。
「鞭は「Castlevania」らしさを忠実に受け継いでいますが、そこに新たな次元を加えたいと考えたのです」
冒険の舞台をパリにしたことも、本作独自の個性をさらに際立たせています。今回の試遊では、ノートルダム大聖堂やカタコンベといった名所に加え、フランスのさまざまな場所を思わせる要素が登場しました。それによって、単なる装飾ではなく、本物らしさを感じさせる舞台が作り上げられています。
一方、探索と戦闘のバランスはすぐに直感的なものとして感じられます。印象的なアート ディレクション、雰囲気あふれるサウンドトラック、細部まで作り込まれたサウンド デザインがそれを支え、即座に分かる「Castlevania」の精神を呼び起こします。
単なるトリビュートではない、新たな一章

まだ明らかになっていないことは多くありますが、ヌアイ氏は、今回披露されたバージョンが冒険全体のごく一部にすぎないことを強調します。
「今日ご覧いただいたものは、冒険の始まりにすぎません。城にたどり着くと、すべてが変わります。新しいゲーム構造だけでなく、キャラクターやストーリー、そして発見を待つあらゆる秘密によって、プレイヤーの皆さんを驚かせることができればと思っています」
今回の取材では、ひとつの考えが繰り返し語られました。『Castlevania: Belmont’s Curse』は、決して「Castlevania」への単なるトリビュートとして構想された作品ではないということです。KONAMI はまず、シリーズに不可欠な土台を定め、そのうえで Evil Empire が独自のクリエイティブな感性を生かし、それらを発展させられるようにしました。2 つのビジョンが交わる中で、真のパートナーシップが生まれたのです。そして、その関係は開発におけるあらゆる重要な判断に影響を与えているように見えます。
エマニュエル・ヌアイ氏にとって、その開発思想を完璧に表す、ある思い出があります。それは壮大なボス戦でも、重要なストーリー場面でもなく、もっとささやかな出来事でした。
開発が進むにつれ、アニメーションや視覚効果、おなじみのモンスター、音楽、サウンド デザインが徐々に組み合わさり、プロジェクト独自の個性が形作られていきました。しかし、本当の転機となったのは、ヌアイ氏が新たな能力を獲得した後で再び訪れようと思った場所に印を付けるため、無意識のうちにマップを開いた瞬間でした。
「そのとき、私たちはもう単にゲームの仕組みをテストしているのではないと気づきました。本当に「Castlevania」をプレイしていたのです」
その謙虚な姿勢は、シリーズに対する Evil Empire の目標にも表れています。チームが目指したのは、『悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲』のような金字塔を超えることではありません。40 年近くにわたり進化を続けてきたシリーズに、新たな一章を加えることだけでした。
今回の初試遊と開発者への取材から判断する限り、『Castlevania: Belmont’s Curse』は、まさにそれを成し遂げようとしているようです。「Castlevania」が築いてきたものを尊重しながら、自信を持って独自の個性を切り開こうとしています。
『Castlevania: Belmont’s Curse』は、10 月 15 日に XBOX Series X|S、XBOX on PC、ならびに XBOX on Cloud 向けに発売予定です。
※この記事は米国時間 7 月 24 日に公開された “Castlevania: Belmont’s Curse – How KONAMI and Evil Empire Reimagined Castlevania’s Return” を基にしています。
ⓒKonami Digital Entertainment
※画像は開発中のものです。