広がるゲーム環境の選択肢: 開発者たちが語る「Xbox Play Anywhere」のメリットと可能性

先日発表されたとおり、現在「Xbox Play Anywhere (XPA) 」に対応するゲーム タイトル数は 1,000 本を超えています。この機能に対応しているゲームを所有していれば、プレイヤーはさまざまなデバイスで同じ作品を楽しむことができ、驚きや楽しみに満ちたゲーム体験の選択肢をさらに広げることが可能になります。

「XPA」を初めて耳にする方のために簡単にご紹介します。Xbox ストアあるいは Windows ストアで XPA 対応のデジタル版タイトルを購入すると、追加費用なしで Xbox コンソール、Windows 10/11 PC、対応する携帯型ゲーム デバイスで同じゲームをプレイできるという仕組みです。さらに、セーブ データや進行状況などもすべてのデバイス間で共有されます。

プレイヤーにとって XPA の恩恵は分かりやすいものですが、実際にこの仕組みを導入している開発者がどう考え、どのようなメリットを感じているのかを今回ご紹介します。毎年恒例の ID@Xbox Showcase (GDC 会場) で、これから XPA 対応タイトルとしてリリースされる 3 作品、『Clair Obscur: Expedition 33』、『Detective Dotson』、『Towerborne』の開発者の皆さんに話をうかがうことができました。なぜ XPA を導入しようと決めたのか、導入することでどんな可能性が広がるのかに焦点を当てて、語っていただきました。

『Detective Dotson』

「私たちにとっては“見つけてもらう”ことが何より大切なんです」と話してくれたのは、『Detective Dotson』ディレクターのシャーリン ショーダン (Sharlin Shodhan) 氏でした。「ゲームは作るのも大変ですが、2025 年の今、ゲームを“売る”のはもっと大変ですよね。そこで、Xbox とマイクロソフトが提供している複数の販売経路をまとめて活用できる XPA は、私たちのゲームをより多くの人に届ける手段として活用しています。」

さらにショーダン氏は、複数のデバイスにわたってプレイヤーが繋がることの重要性を強調します。さまざまなタイプのプレイヤーが「どのデバイスでも遊べる」と分かれば、遊ぶ人の範囲が広がり、自然と [ゲームについての情報] が「シェア」されるようになり、コミュニティも拡大していくからです。

『Clair Obscur: Expedition 33』

もうすぐ、4 月 24 日に Game Pass で初日から配信予定の『Clair Obscur: Expedition 33』も、発売時点で XPA に対応します。特に本作の開発をになった、 Sandfall Interactive のような新しい開発スタジオにとっては、複数プラットフォームのコミュニティを繋げられる点は大きな利点と感じられるでしょう。

「新しいプレイヤーが私たちのゲームを見つけ、ファンになってくれることが一番の喜びです」と語るのは、スタジオ共同設立者であり『Clair Obscur: Expedition 33』のプロデューサーを務めるフランソワ ムリス (François Meurisse) 氏。

「すでに持っているデバイスでそのまま遊べるのは、プレイヤーにとって理想的ですよね。それをきっかけに私たちの作品世界やキャラクターに触れ、将来的には次回作も楽しみにしてもらえるかもしれない。そう思うとワクワクします。」

『Towerborne』

また、開発初期から XPA の導入を検討していたという事例もあります。たとえば、協力プレイ (Co-op) をゲームの中核的要素としている『Towerborne』のゲーム ディレクター、ダニエル マクラーレン (Daniel McLaren) 氏は、PC ユーザーも Xbox ユーザーも同じコミュニティで一緒に遊べるようにするためには XPA が不可欠であり、初期から導入を決めていたと話してくれました。

「私たちは“みんなで遊ぶ”ことを前提に本作を開発しています。画面分割でのローカル協力プレイにしても、オンライン協力プレイにしても、あるいは隣で誰かにアドバイスされながらのプレイにしても、できるだけ多くの方々に同じゲームを共有できる環境を用意したかったのです」とマクラーレン氏は言います。

「Game Pass 経由か、直接購入するか、プレイヤーが Xbox にアクセスする方法はさまざまですが、とにかく最大数のユーザーが“どんな場所でも、いつでも”一緒にプレイできることを最優先にしました。」

また、XPA は単にプレイヤー同士のコミュニティをつなげるだけではありません。開発者自身もプレイヤーである以上、彼らは「自分のゲームを家族や友人と一緒にプレイする」という体験も大切にしており、そこで得た気づきを作品づくりに反映しているのです。『Towerborne』開発のマクラレーン氏にさらに話を聞いたところ、マルチデバイスで遊べるオプションとして XPA を導入することは、個人的にも開発者としても大きなメリットをもたらすといいます。

「正直、プレイヤー層を分断すること自体がもったいないと感じます。オンラインのマルチプレイ ゲームを作っているのに、PC と Xbox のプレイヤーが一緒に遊べないなんて、とても残念です。私には、Xbox のコンソールは持っているけど PC ではゲームをしないという友人もいます。だからこそ XPA の対応は不可欠でした。むしろ、なぜ [他の開発者] “皆はこれを導入しないんだろう?” と不思議なくらいです」とマクラーレン氏は笑います。

『Detective Dotson』開発のショーダン氏もプレイヤー目線で次のように語ります。「私がいろんなデバイスを持っていたら、いちいち別のストアで買い直したり、有料で再ダウンロードし直したりなんてしたくないですよね。デベロッパーとしても、同じゲームをいろんなデバイスで気軽に遊んでもらえることこそ理想的だと思っていますし、それが XPA を通して実現できてうれしいです。」

『Clair Obscur: Expedition 33』開発のムリス氏も同様の意見で、「Xbox Game Pass」のおかげでさらに遊びの幅が広がったと感じているそうです。「私自身も Game Pass メンバーです。まだ Steam Deck は持っていませんが、ベッドで寝転びながら iPad (Xbox Cloud Gaming 経由) でゲームを遊べるのは最高ですね。iPad の大きい画面とコントローラーの組み合わせでプレイするゲーム環境はとても快適です。」

取材を振り返って、Xbox Play Anywhere が可能にするデバイスの垣根を超えたコミュニティの醸成は、プレイヤーにとって利便性が高いだけでなく、開発者側にとっても大きなメリットがあることが実感できました。XPA 対応タイトルを一度購入すれば、Xbox と PC の両方で柔軟に遊べ、さらに他の対応デバイスを活用すると、どこにいても Xbox のゲームを楽しめます。この仕組みによって、遊びの選択肢が広がり、プレイヤーのゲーム ライフをより充実させてくれます。そして開発者にとって、一番のゴールは「より多くの人に自分たちのゲームを遊んでもらうこと」ですから、XPA は、まさにその目標を実現する手助けをしてくれる存在だと言えるでしょう。

※この記事は米国日時 3 月 20 日に公開された “How Developers Have Embraced Xbox Play Anywhere for Their Games” を基にしています。